ダイエットや病気の予防など、様々な健康メリットが噂されるヴィーガンやベジタリアンなどの菜食主義。
一方で、「栄養失調になる」「早死にする」など、危険性を訴える人たちも。
何が正しくて、どの情報を信じれば良いのか、判断するのは本当に難しいですよね。
そんなモヤモヤも今日でスッキリ解決!?
総数100以上の研究論文に基づいて、菜食主義に噂の健康メリットの真相を深掘りしてみます。
目次
ヴィーガンって本当に健康なの?
まず始めに、ベジタリアンやヴィーガンとはどんな食生活なのか、簡単に確認しておきましょう。
- ベジタリアン:お肉やお魚を食べない
- ヴィーガン:お肉やお魚だけでなく、卵や乳製品も食べない
どちらも植物中心の食生活ですが、卵や乳製品(チーズやヨーグルトなど)を食べるかどうかが一番の違いです。
卵も乳も口にしないヴィーガンの方が、より厳格に「植物性だけ」に限定される感じですね。
いろんな種類がある野菜中心の食生活
上記の2種類以外にも、フレキシタリアンやペスカタリアンと呼ばれる食生活も、ゆるめの菜食主義として捉えることができます。
- フレキシタリアン:ほぼベジタリアンだけど、たまにお肉やお魚を食べる
- ペスカタリアン:お肉は食べないけど、お魚は食べる
フレキシタリアンやペスカタリアンの健康メリット等については別記事でも詳しく解説しています。
ヴィーガンの6つの健康メリット
菜食主義に噂される健康メリットは、主に以下の6つがあります。
- ダイエットに効果的?
- お腹の調子が良くなる?
- 糖尿病のリスクが下がる?
- ガンのリスクが下がる?
- 心臓病のリスクが下がる?
- お肌が綺麗になる?
これらが全て本当だとしたら、「シュッとした体にツヤツヤの肌。いろんな病気になりくく、胃腸はいつも快調」なんてことになり、夢のような食生活にも聞こえます。
果たしてどのような裏付けがあるのか、100件以上の研究論文を基に探ってみましょう。
「どんな食生活もやり方次第」というスタンスで
さっそく真相に迫っていきたいところですが、その前に、どんな食生活も「やり方次第で健康にも不健康にもなり得る」という認識を持つことも大切です。
極端な例で考えてみると、「主食はフライドポテト。飲み物はいつもコーラ。」みたいないかにも不健康そうな食生活も、動物性ゼロでヴィーガンに当てはまります。
「やり方次第」なのは普通の食生活(雑食)でも同じで、自炊中心の食生活と、コンビニ食や外食中心の食生活では、健康状態も大きく異なるでしょう。
ヴィーガンでも疾患リスクが上がる?
実際に、あるヴィーガンを対象とした研究では、「ジャンクフードばかり食べるヴィーガンは普通の食生活よりも病気のリスクが高い」とも示唆されています(1)。
単純に「動物を食べなければ健康」とか「植物性なら健康」という解釈はできないことも頭に入れた上で、参考にしていただければと思います。
菜食主義で不足しがちな7つの栄養素について、別記事で解説していますので興味のある方はそちらもチェックしてみてください。
ヴィーガンの6つの健康メリット
では、ここからお待ちかね、6つの健康効果 + α について、どんな研究があるのかみていきましょう。
- ヴィーガンのダイエット効果
- ヴィーガンと腸内環境
- ヴィーガンと糖尿病リスク
- ヴィーガンと癌リスク
- ヴィーガンと心臓病リスク
- ヴィーガンとお肌の健康
- ヴィーガンのプラスα健康メリット
※ 本サイトはあくまで既存論文等をご紹介するのみですので、ヴィーガン実践による効果等を示すものではありません。研究結果をどのように解釈するかは読者の皆様にお任せします。(免責事項)
ヴィーガンはダイエットに効果的?
最初に深堀するヴィーガンの健康メリットはダイエット効果についてです。
96件の研究を総合的に検証した大規模リサーチで菜食主義者は普通よりBMIが低いことが示されていたり、「ヴィーガンやベジタリアンは太りにく」という傾向を示す研究は多数存在しています(2, 3)。
菜食主義のイメージ通りかもしれませんが、ヴィーガンやベジタリアンは科学的にも太りにくい食生活と考えられているようです。
ヴィーガンが最強のダイエット法?
他にも関連する研究を探してみると、他の食事法と比較してもヴィーガンが最もダイエット効果が高いとする論文も出てきます(4, 5, 6, 7, 8, 9, 10)。
糖質制限のケトンや原始人食とも言われるパレオなど、流行りのダイエット食はいくつもありますが、菜食主義も効果的な選択肢の一つに挙げられるかもしれませんね。
ヴィーガンのダイエット効果はどれくらい?
ヴィーガンによるダイエット効果を、具体的に数字で示した研究も見つかりました。
例えば下の2つの論文では、約4ヶ月のヴィーガンの実践で以下のようなダイエットの結果が示されています。
さらに、雑食でカロリー制限を行うダイエットと比較しても、満腹まで食べてOKなヴィーガンの方が短期間で痩せると示唆する研究も出ています(6, 7)。
厳格なヴィーガンじゃないと効果薄?
ダイエット効果を期待させてくれる研究も多いヴィーガンですが、冒頭でお伝えした「やり方次第」であることについても記載があります。
例えば、上記の研究では、以下のような条件をつけたヴィーガンでのダイエット効果を検証しています。
- 調理油をなるべく使わない(カロリーが高いため)
- 加工食品を食べない(血糖値を急上昇させない低GI食品中心)
お肉などの動物性食品を全く食べないヴィーガンでも、油が多くて高カロリーな揚げ物や、お砂糖たっぷりのお菓子を食べてしまうと、ダイエット効果は期待できないということを示唆していると言えるでしょう
ヴィーガンとベジタリアンはどっちが効果的?
ちなみに、お肉やお魚だけ食べないベジタリアンと、卵や乳製品も食べないヴィーガンとを比較した場合、どちらがダイエットに向いているかも気になりますよね。
この疑問に答えてくれる研究もあり、ある論文はベジタリアンよりもヴィーガンの方が減量効果が高いと示唆しています(11)。
同じ菜食主義でも、卵やチーズなども食べない「完全菜食主義」ヴィーガンの方が、より減量しやすい食生活なのですね。
高栄養で低カロリーな植物性食品
こうした研究結果の解釈は読者の皆様にお任せしますが、「なぜヴィーガンで痩せるのか」という理由の一つに考えられるのが、植物性食品のカロリーの低さです。
動物性食品と植物性食品で、同じ重さあたりのカロリーを簡単に比較してみます。
動物性食品 | カロリー |
---|---|
牛肉 | 573kcal |
チーズ | 423kcal |
豚肉 | 328kcal |
魚(シャケ) | 290kcal |
鶏肉 | 241kcal |
植物性食品 | カロリー |
大豆(茹で) | 176kcal |
木綿豆腐 | 80kcal |
ブロッコリー | 40kcal |
ニンジン | 39kcal |
トマト | 19kcal |
全て100gあたりで、数値は日本食品標準成分表より。お肉は部位によってカロリーが異なります。
表の通り、植物性食品は重さの割に低カロリー。
これだけ見ても「たくさん食べても太らない」という研究結果にも納得な感じはしますよね。
また、満腹感を維持してくれると言われる食物繊維は動物性食品にほぼゼロですが、植物性食品にはたっぷり。
「今年こそはダイエット!でも空腹には耐えられない…」という方は、ヴィーガンとまではいかなくても、お野菜を割合を増やして「満腹OKダイエット」を試してみてはいかがでしょう?
ヴィーガンでお腹の調子が良くなる?
ダイエットに加え、「ヴィーガンになってからお腹の調子が良い」という体験談もよく耳にします。
果たしてどんな裏付けがあるのか研究論文を探ってみると、腸内フローラや善玉菌などの腸内細菌が、私たちのお腹の調子と大きく関わっていることが見えてきます(12)。
そして、「どんな細菌が腸にいるか」は普段食べているもので大きく異なり、ヴィーガンの腸には善玉菌が多く、腸内環境が良いことが報告されています(13, 14, 15)。
ヴィーガンで腸内環境が良くなる?
さらに掘り下げてみると、菜食主義を数週間実践するだけでも腸内環境が改善されるとした研究も出てきます。
いくつかの論文で、植物中心の食生活を4〜6週間実践することで腸内の病原菌が減少すると書かれています(16, 17, 18)。
日々の食事を変えるだけで、腸内環境は意外と短期間で改善することができるのですね。
他にも、植物性食品がお腹の調子を整えることを示す研究は多々あり、リンゴやブルーベリー、アーモンド、オートミールなどでも善玉菌が増えるとの報告も見つけることができます(19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26)。
乳製品を控えるだけで腸内改善?
腸内環境といえばヨーグルトの乳酸菌やビフィズス菌などを良く聞きますが、ナッツや穀物でも善玉菌が増えるとする研究があるのは少し驚きですね。
腸内環境に関する論文をさらに探って行くと、「ヴィーガンでお腹の調子が良くなる」という主張に一層の説得力を持たせるような研究も出てきます。
それが、「牛乳はお腹に悪い」という多数の報告です。
日本人のほとんどが乳糖不耐症?
論文によると、「牛乳でお腹を壊す」という症状には牛乳に含まれる乳糖という糖分が関係しているようで、驚くことにこの乳糖は、私たち人間(成人)のお腹で消化できない成分とされています(27)。
全人類が「牛乳NG」というわけでは無いようですが、牛乳が消化できない症状は乳糖不耐症と呼ばれていて、具体的に以下の割合の人口が、乳製品を得意としない体質だと推計されています。
日本では給食にも出されたり、「飲まなくてはいけないもの」という認識も浸透しているため、疑いたくなるような数字ですね。
ヴィーガンで乳糖不耐症は回避できる
ちなみに乳糖不耐症の症状としては、お腹の張りや下痢、腹部の痙攣やガスだまりなど様々報告されています(30, 31, 32)。
また、乳糖は牛乳のみならず、チーズやアイスクリーム、パンなど、乳成分を原材料に含む幅広い食品に含まれているのが一般的です。
何事も一概には言えませんが、お腹の調子に悩みがある方は、乳製品を減らすことでお腹の調子に良い変化があるかもしれませんね。
※ 乳糖の消化を助ける菌が入っているヨーグルトや、製造過程で乳糖の一部が分解される特定のチーズ(チェダーチーズなどのハードチーズ)は、消化不良の可能性が低いとの報告もあります(33, 34, 35, 36)。
脳や精神状態にも影響する腸内環境
腸内環境はお腹の調子だけでなく、私たちの気分や精神状態、脳の働き、疾患リスクなど、様々な健康状態と関わりがあるとも報告されています(37, 38, 39, 40)。
仕事の生産性や日々の人間関係など、生活の様々な部分にも影響を及ぼしかねない腸内環境。
ヴィーガンにならずとも、食事の際には、「これってお腹に優しいかな?」と気にしてみても良いかもしれませんね。
ダイエットやお腹の調子だけでなく、菜食主義には「糖尿病になりにくい」なんて噂も存在します。 この主張にもちゃんとした根拠はあるようで、研究を探ってみると以下のような論文が発表されています。 こうした疫学研究をどう解釈するかは読者の皆様にお任せしますが、どのようなことが書かれているのか、もう少し深堀してみます。 一つ目の論文は約10万人が対象の観察研究で、菜食主義者は糖尿病になるリスクが低い傾向を示しています(41)。 また、糖尿病罹患者を対象にした研究では、「食事療法でどれくらい服薬量を減らせるか」について検証し、以下の結果を報告しています(43)。 ここで言う従来の食事療法とは「アメリカ糖尿病協会が推奨する食事法」だそうで、論文は「そんなことよりお肉やめるのが一番じゃない?」というような見解を展開しています。 こうした類の論文を読んでいると、糖尿病で気をつけるべきは「糖質ではなくて動物性の油」という視点が共通しています。 糖尿病という名の通り「糖質の取りすぎ」というイメージですが、糖質はインスリンの機能が正常であれば問題なく吸収されるため、糖質のとりすぎは直接の原因にならないことが示唆されています(44, 45)。 そして、糖尿病の直接の原因はインスリンの働きを悪くする食べ物で、その代表格が「お肉などの動物性の油だ」というような論調が見受けられます(44, 45, 50)。 ※ インスリンの機能が下がった状態をインスリン抵抗性(Insulin Resistance)を呼び、厚生労働省のサイトにも肥満や高脂肪食が原因との記載があります(参考)。 「動物性の食品がインスリンの機能を下げ、糖尿病のリスクを高める」ことが示される一方、逆に植物性の食べ物はインスリンの機能を高める(正常に戻してくれる)とする主張も見つけることができます。 例えば、植物に含まれる成分がインスリンの働きを正常化するとした論文や、ヴィーガンやベジタリアンはインスリンの働きが良いとした論文などです(46, 47, 48, 49)。 論文の解釈は人それぞれですが、こうした情報を総合的に読み解いていくと、「ヴィーガンは糖尿病になりにくい」という主張にも説得力があるような気はしてきますよね。 ただ、お肉を食べないだけで本当に糖尿病のリクスが下がるのかと言うと、やはりそうとも言えないようです。 例えば、お砂糖をたくさん食べることで、糖尿病リスクが40%も高くなると示した研究も存在します(51)。お砂糖の原料は植物性のサトウキビですので、お肉とは無関係です。 「ヴィーガンが糖尿病になりにくい」とした上の研究でも、お野菜や果物、全粒穀物などを中心とした健康的な菜食が前提になっていますので、お肉だけを悪者扱いするのではなく、様々な要素に気を配る必要があると言えそうですね。 菜食主義は「癌になりにくい」という噂も、よく聞くヴィーガン効果のひとつに挙げられます。 「日本人男性の2人に1人、女性の3人に1人が癌になる」とも言われる現代社会(厚生労働省)。 ヴィーガンは癌リスクが15%低いとする論文も発表されているようなので、もう少し詳しく見てみます(2)。 上記の論文は、100件近くの研究を総合的に分析たもので、そこには以下のような結論が書かれています(2)。 解釈はお任せしますが、菜食主義者は癌のリスクが低く、卵も乳製品も食べないヴィーガンの方が更に低くなるとの見解が示されています。 また、ヴィーガンであるか否かに関わらず「植物性の食べ物をたくさん食べる人は癌になりにくい」とする研究もあります。 個人の感想ですが、上のヴィーガンの論文(2)含め、どれも「野菜増 = 癌リクス減」という結果を示しているようにも感じます。 また、「植物をたくさん食べると癌になりにくい」とする研究と並んで、「お肉で癌のリスクが高まる」とする論文も見つけることができます。 その代表格とも言えるのが、世界保健機関(WHO)の2015年の報告です(52)。 この報告は基本的に、「WHOはお肉を発ガン性物質に指定します」というものです。 この発表は、「WHOの外部組織であるIARC(国際ガン研究機関)が800件以上の研究を精査した結果」だそうで、加工肉と赤肉が発ガン性物質に追加されています(52)。 加工肉とは例えば以下のようなもの、という記載もあります。 赤肉については、以下のような記載があります。 ※ 「全哺乳類の肉」と書いてあるのでこれ以外にもジビエの鹿肉なども含まれる、という解釈になります。 この中でも加工肉に関しては、「1日50g食べると大腸ガンのリスクが18%高まる」と、具体的な数字付きで明記されています(52, 53)。 一方、加工していない赤肉は具体的な数字が示されていませんが、癌のリスクを高める可能性は様々な研究で指摘されています(54, 55, 56, 57, 58)。 もちろん、この発表をどう解釈するかも人それぞれですが、ヴィーガンやベジタリアンの癌リスクと関係がありそうにも思えてしまいますね。 ただ、お肉を全く食べなかったとしても、癌のリスクが高まることも当然ながら考えられるでしょう。 例えば、お砂糖をたくさん摂取する人は、大腸ガンのリスクが約2倍になると示す研究も存在します(61)。 また、WHOが発表している発がん性物質リストには、お肉以外にもタバコやアルコール(お酒)なども含まれています(62)。 お肉だけがガンのリスクを高めるのではなく、遺伝を含む様々な要素が関係していることもしっかりと頭に入れておきたいところです。 豆類や野菜、果物には、ガンのリスク低減に繋が可能性が考えられる栄養素*が豊富に含まれています(63, 64)。 ※ 食物繊維やビタミン、ミネラル、抗酸化物質、ファイトケミカル(植物栄養素)など。 プロテインを植物性にしてみたり、アイスの替わりにフルーツにしてみたり、身近なところから置き換えて見るもの良いかもしれませんね。 菜食主義は他にも、「心臓病になりにくい」という噂をよく耳にします。 心筋梗塞や虚血性心疾患など、循環器系疾患は日本人の主要な死因のひとつ(厚生労働省)。 この疾患についても、ヴィーガンは心臓病リスクが42%低いとする論文が出されていたりします(41)。 もう少し詳しく見てみましょう。 上で触れた「ヴィーガンは心臓病リスクが42%低い」とした論文では、「ヴィーガンは高血圧のリスクが75%低い」ということも同時に示唆しています(41)。 高血圧は心臓病リスクの主要因のひとつとも考えらています(参考)。 菜食主義は血圧を上げにくい食生活であり、その結果として、心臓病になる人の割合も少ない傾向が、この研究で確認することができたようです。 ただ、研究ひとつでは心許ないので、他にも類似の調査がないか調べたところ、以下のような可能性を示唆する論文が見つかりました。 菜食主義者に心臓病が少ないとされる背景には、上記のような食品を比較的たくさん食べていることが関係しているかもしれないのですね。 「植物が心臓に良い」という論文と同時に、「お肉が心臓に悪い」という研究も出てきたので簡単に触れておきます(70, 71)。 このうち、120万人を対象とした研究では、加工肉(ハムやソーセージなど)によって心臓病リスクが42%高まる可能性があると示されています(71)。 また、お肉を食べるとTMAOという物質が体内で増え、そのTMAOが心臓病のリスクを高めるとする研究結果も見つかりました(72, 73)。 論文をどう解釈するかは人それぞれですが、こうした根拠を基に「ヴィーガンは心臓病になりにくい」という主張が展開されているようです。 ただ、お肉を全く食べない食生活でも、心臓病のリスクファクターはいくつも存在します。 例えば、先述の通り高血圧は心疾患主要因ですが(参考)、塩分のとりすぎも高血圧に繋がります(74, 75)。 さらに、ヴィーガンを対象とした研究にも「ジャンクフードが多いと心臓病リクスが高まる」と示すものもあります(1)。 タンパク源をお肉から豆などの植物性に置き換えるだけでなく、減塩に気をつけるなど、心臓に優しいお腹満たしを心がけてみると良いかもしれませんね。 心臓病など、様々な健康効果の可能性に加え、「ヴィーガンで肌が綺麗になる」という噂も存在します。 お肌に関するトラブルで最も大きな悩みとなるのが、ニキビなどの吹き出物。 そんな肌トラブルが、「ヴィーガンで改善できる可能性がある」とした研究もいくつか見つかりました(78, 79)。 もう少し詳しく読んでみます。 ヴィーガンによる肌荒れ改善を示唆した研究論文には、乳製品でニキビの症状が悪化する可能性について触れられています(78, 79) もちろん、ニキビなどの肌荒れの症状には、睡眠やストレス、体質など、様々な要因が影響していると考えられています(76, 77)。 あくまで皮膚科学上の仮説の一つという位置付けになるようですが、食生活も重要な要因のひとつであることは、誰でも容易に想像がつきますよね。 さらに具体的な数字がないか探してみると、以下のようなものが出てきました。 また、比較的若い人に多いと言われるニキビですが、以下の2つの研究は年齢を絞って「牛乳を飲む人にニキビが多い傾向」を検証しています。 もうひとつの約7万人の研究は、年齢に関わらず乳とニキビの関連を示唆しています(82)。 また、チーズやヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品も同様に、ニキビと関連しているとの記載があります(80, 81)。 他にも、乳由来のホエイプロテインを飲む人にもニキビが多いとの報告も出ています(83, 84, 85, 86)。 解釈はお任せしますが、牛乳アイスを豆乳アイスに替えたり、ホエイプロテインから植物性プロテインに替えたりしてみると、嬉しい変化があるかもしれませんね。 そもそもなぜ、乳製品をとるとニキビが増えるのかも気になったので、もう少し調べてみました。 すると、ニキビの発生や増殖に、IGF-1(インスリン様成長因子)という物質が関係していると書かれた論文が出てきました(87, 88)。 このIGF-1(アイジーエフワン)という名の成長因子は、乳製品を摂取すると体内で増えるそうで、このIGF-1が増えることでニキビも増えるとの見立てが説明されています(79, 81)。 ただ、乳製品を一切食べなくてもニキビができることもあるでしょうし、逆に牛乳をたくさん飲んでもニキビができない人もいるでしょう。 先述の通り、ニキビや肌荒れの要因はストレスや睡眠など様々(76, 77)。 また、乳製品以外にも、お砂糖や小麦粉なども、ニキビと関係していることを書いた論文も存在します(89, 90)。 牛乳を控えるだけでなく、健康的な食生活と、規則正しい生活リズムを心がけることが大切と言えそうですね。 上記の6つの健康メリットの他にも、ヴィーガンにまつわる研究がいくつか見つかりましたので、簡単にチェックしておきましょう。 まず、ひとつ目のプラスαとして、植物中心の食生活が脳の老化防止に繋がると示唆する研究がいくつかあります。 認知機能が衰えにくいとも考えられている菜食主義ですが、同時に栄養不足にも細心の注意が必要です。 例えば、脳の機能とも深く関わるビタミンB12やオメガ3脂肪酸は、ヴィーガンやベジタリアンでは不足しがちな栄養素で、論文でもサプリメントが推奨されていたりもします(95, 96, 97, 98)。 認知機能の他に、植物中心の食生活が腎臓に優しいという可能性を示唆する研究もあり、例えば下記のようなものです。 腎臓の機能が低下する要因もきっと様々で、「お肉を食べなければ腎臓病にならない」なんてことは全くありませんが、こうした研究も存在しています。 植物中心の食生活によって関節炎の症状が緩和されたという報告も、いくつか見受けられます(105, 106, 107)。 ベジタリアンやヴィーガンの食生活によって体内の炎症が抑えられるとする研究もあり、食物繊維や抗酸化物質が関連しているとの記載も見られます(108, 109)。 こうしたメリットを裏付ける論文がある一方で、最近では「ヴィーガンは逆に脳卒中のリスクが高い」という主張も見受けられます。 気になるので調べてみたところ、実際に菜食主義は脳卒中のリスクが高いと示した研究が2019年に発表されています(110)。 この研究は約5万人が対象ですが、同じ2019年に「菜食主義が脳卒中になりやすい十分な根拠はない」というメタ解析の結果が、約20万人が対象の別の論文から出されています(111)。 この二つを見比べてみてどう解釈するかは、もちろん個人の自由です。 いかがでしたでしょうか? 今回は、ヴィーガンの効果として噂される健康メリットについて、100個以上の論文を引っ張り出して整理してみました。 どんな研究もあくまで「可能性」や「傾向」を示しているに過ぎませんが、噂されるメリットをサポートする論文も多数あり、とても興味深い内容になっていました。 ただ、「ヴィーガンになれば健康になれるの?」という問いに対しては、答えがないのが現実とも感じます。 調べれば調べるほど、どちらの見解も出てきますし、また、ヴィーガンやベジタリアンなどと一口に言っても、実践する方によって食べるものや生活スタイルは千差万別です。 大切なのは、どちらが良い・悪いの議論ではなく、一人ひとりが満足できる形で日々の食べ物を選び、幸せに暮らすこと。調べているうちに、そんな気持ちにもさせられました。 「今日なに食べようかな」「なんか身体に良いもの食べたいな」 そんな時、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
ヴィーガンは糖尿病になりにくい?
ヴィーガンは糖尿病の予防に?
糖尿病の原因は糖質ではなくお肉?
植物性食品はインスリンを正常化?
お砂糖など、お肉以外にも要注意
ヴィーガンは癌になりにくい?
ベジタリアンよりヴィーガンの方が癌になりにくい?
豆や野菜が癌の予防に効果的?
WHOが「お肉は発ガン性物質」と発表?
加工肉と赤肉が高リスク?
1日50gのお肉で癌リスク18%増?
お肉以外にも発がん性物質はたくさん
少しの置き換えからヘルシーに
ヴィーガンは心臓病になりにくい?
高血圧にもなりにくい菜食主義?
野菜が心臓病リスクを下げる?
お肉は心臓病リスクを高める?
お塩なども心臓病のリスクファクター
ヴィーガンはお肌が綺麗になる?
乳製品とニキビに関係が?
牛乳を飲むとニキビができる?
チーズやプロテインでもニキビに?
牛乳のホルモン物質がニキビの原因?
牛乳以外の肌荒れ要因にも注意
プラスα3つの健康メリット
ヴィーガンは認知症になりにくい?
ヴィーガンは腎臓に優しい?
ヴィーガンで炎症がおさまる?
ヴィーガンは脳卒中になりやすい?
まとめ