即席で作れるビーガン料理!いきなりの注文にも困らない対応時の秘訣

野菜を使ったベジタリアン料理

海外からの観光客に特に多い、ベジタリアンやビーガンなどの菜食実践者。

最近では、ビーガンなどのメニューを全く取り扱っていない飲食店でも、外国人のゲストから「ベジタリアンでも食べられるものはありますか?」などと質問される機会も増えてきています。

急に頼まれても「うちはそういうのやってないし…」と対応に困ってしまいますが、ちょっとしたことを知っておくだけで、意外と今あるメニューをそのまま出せてしまったり、ひと工夫加えるだけでビーガンメニューへと早変わりしてくれることも。

そこで今回は、今ある食材だけでも意外といけちゃう、即席ビーガン対応のヒントをお届けします。

ビーガンやベジタリアンが食べないもの

黒板に書かれたおしゃれなメニュー

菜食メニューがあるか聞かれたとき、「えっと、お肉の入ってない料理は…」と、お魚のメニューを探してオススメしたりしていませんでしょうか?

菜食に対して、”お肉なし”のざっくりしたイメージをお持ちの方が多いですが、ベジタリアンやビーガンは、実はお魚も口にしません。

そもそもビーガンやベジタリアンについて詳しく知らない人も多いので、まずは簡単に、ベジタリアン・ビーガンの基礎情報を確認しておきましょう。

お肉にお魚、卵やチーズもダメなビーガン

菜食には、大きく分けてベジタリアン(Vegetarian)と呼ばれるものと、ビーガン(Vegan)と呼ばれるものの2種類があります。

どちらも肉・魚を口にしないことが共通点ですが、後者のビーガンに限っては卵や乳製品、蜂蜜も口にしません。

カテゴリー 牛乳 鶏卵 蜂蜜
ベジタリアン × ×
ビーガン × × × × ×

肉や魚介類は全て対象

世の中には「牛肉(赤肉)はダメだけど鶏肉(白肉)は大丈夫」などの食事制限をしている人もいます。

よくベジタリアンなどの菜食と混同されてしまうこの手の食生活ですが、ベジタリアンやビーガンでは、どんな動物でも全ての肉が排除の対象になります。

また、ベジタリアンやビーガンが口にしない魚介類には、サーモンやマグロなどの魚らしい魚だけでなく、牡蠣などの貝類、エビなどの甲殻類、イクラなどの魚卵、タコなども含まれます。

乳製品や卵が使用できるベジタリアン

ビーガンもベジタリアンも、全てのお肉・お魚を食べませんが、ベジタリアンは牛乳や鶏卵を食べることができ、ビーガンだけは乳も卵も口にしません。

卵と乳が使えるかによって、提供できる料理に大きな差が出てくるので、即席対応の際には、ゲストが”ベジタリアン(Vegetarian)”なのか”ビーガン(Vegan)”なのかも、最初にしっかり確認しておくといいでしょう。

動物性の出汁もNGな菜食

ベトナム料理のフォーの出汁

ビーガンもベジタリアンも、どんな種類でもお肉やお魚は口にしませんが、それらの具材が「見えるか・見えないか」「味を感じるか・感じないか」も関係ありません。

したがって、鶏ガラやチキンブイヨン、ラードなど動物性の脂、カツオ節や煮干しなどの魚介類ダシ、牡蠣のエキスが入ったオイスターソースなども使うことができません。

また、お野菜メニューの定番にバーニャカウダがありますが、ソースにアンチョビ(イワシ)が含まれているので、そのような料理もベジタリアンやビーガン料理としては利用できません。

形状や加工方法も無関係

加工法も関係なく、乳製品や卵も排除するビーガンの場合、乳を加工したチーズや、卵を原材料に含むマヨネーズなども、メニューに取り入れることができません。

さらに細かいところになると、衣のつなぎとして卵をが使われている揚げ物や、乳成分が含まれるパン類なども、ビーガン料理としては使えない食品に含まれてしまいます。

何を抜くかの見極めが第一ステップ

即席でビーガンやベジタリアンの料理を考えるとき、多くの人が既存メニューをベースに考えるかと思いますが、そうしたアプローチでまず最初にすべきは、既存料理から上記の原材料を「抜く」という作業です。

「どこまでOKで、どこからがNGか」というのがわかりにくいビーガンやベジタリアンですが、一度知っておけば「NGな食材を抜く」こと自体は、それほど難しいことではありません。

意外と色々使える菜食料理

ただ、動物性食材がメインとなるメニューも多いため、「ただの野菜炒めになっちゃう」とか、「そんなんじゃ何も作れない」と感じてしまうかもしれませんが、今お持ちの食材の中にも、お肉やお魚の代替となってくれる植物性食材は意外とたくさんあります。

ここから先は、動物性排除の代わりとして便利な、ベジタリアン・ビーガン向けの食材をみていきましょう。

即席菜食メニューに便利な食材

マーケットに並ぶ色とりどりの野菜

ビーガンやベジタリアン料理に”使えない食材”がわかったら、次のステップは”代わりの食材選定”です。

植物性であれば基本的になんでも使用可能ですので、実に幅広いオプションから選べます。

ほとんどそのまま使える調味料

まずは、味付けとなるものから。

お肉のエキスや魚介類の出汁を使えないことは、料理を考える上で確かに痛いのですが、醤油や味噌、みりんや酢、塩、砂糖などの調味料はどれも植物性で、ベジタリアンにもビーガンにも使用が可能です。

その他にも、ニンニクや生姜などの料理の味を引き立てるのに欠かせない香味野菜や、唐辛子やコショウ、カレーパウダーなどの香辛料、香り豊かなオリーブオイルやごま油なども、もちろん使うことができます。

出汁には昆布と椎茸が活躍

鶏ガラや鰹だしが使えない菜食ですが、ビーガンやベジタリアン料理の出汁として大活躍してくれるのが”昆布とシイタケ”です。

普通の料理でもよく使われる昆布だし&椎茸だしですが、菜食料理では動物性だしの代替品として活躍してくれます。

注文を受けてから出汁を取り始めるのは時間がかかり過ぎてしまいますが、仕込み段階で少量を準備しておくか、顆粒だしなどをストックしておくと、いざという時便利かもしれません。

野菜から出る旨味も活用

また、ダシとして昆布や椎茸を料理に加えなくても、野菜そのものにも味・香り豊かな旨味成分が入っています。

きのこなど、旨味の強い野菜を積極的に活用するのも、菜食レシピではポイントとなります。

洋風料理にはトマト系ソースが便利

また、乳・卵OKなベジタリアンであれば、洋風のクリーム系のソースや、チーズなどを使うこともできます。

乳・卵NGなビーガン向けには普通のクリームソースは使えませんが、洋風料理でも牛乳の代わりに豆乳を使ったり、トマトソースやケチャップなどトマト系の味付けも比較的多く使用されます。

もし、トマトベースの料理が既にあれば、そこからお肉やチーズを抜いて野菜を足せば、あっという間にビーガン料理に早変わりもしてくれます。

食感の良い食材も積極利用

ビーガンも大好きなきのこ

味付けと同様に、お肉やお魚の代わりとなるような”食感の良い食材”を追加することも、菜食料理においてはポイントになります。

ビーガンやベジタリアン料理で食感の良い代表的な具材はエリンギやエノキ、舞茸やマッシュルームなどのきのこ類で、独特なプリッとした食感が、ビーガンやベジタリアンに人気です。

欧米で人気のカリフラワー

また、欧米ではカリフラワーも食感が良いと人気の食材で、揚げてフライドチキン風の料理にしたり、焼いてステーキにしたりと、アイディア次第でいろんな形で料理に使うことができます。

また、「醤油をかけるとトロみたい」と言われるアボカドなども、菜食料理で良く使われる便利な食材の一つです。

こんにゃくにも注目

また、欧米ではあまり馴染みはないですが、こんにゃくも肉類の代替食となりうる植物性食材の一つです。

欧米からのゲストの口に合うようにするには切り方や味付けで工夫も必要ですが、和風テイストな料理には特に使いやすくて便利な具材でしょう。

ちなみに、かまぼこやちくわなどもこんにゃくのようにプリプリした食感ですが、これらは魚を原料としているのでビーガン・ベジタリアン向けには使用できません。

高タンパク食材も忘れずに

豆とモヤシ

また、味よりも優先順位は下がりますが、タンパク質を多く含んだ食材を意識して入れることも、ビーガン・ベジタリアンメニューのポイントです。

主要タンパク源となるお肉やお魚を取り除かなくていけないため、菜食メニューではタンパク質が不足しがちです。

高タンパク食材の一覧

いきなり頼まれたら栄養のことまで考えていられないのが正直なところですが、即席での対応でも少しタンパク質の多い食材も入れてあげると、ゲストにより喜ばれるベジタリアン・ビーガン料理にすることができます。

大豆製品など豆類が多いですが、以下がタンパク質含有量の多い代表的な食材です。

食材 タンパク質/100g
高野豆腐 50g**
納豆 17g
枝豆 11g
レンズ豆 9g*(26g**)
インゲン豆 9g*(24g**)
ひよこ豆 9g*(19g**)
そら豆 8g*(26g**)
エンドウ(グリンピース) 8g*(25g**)
ささげ 8g*(24g**)
黒豆 8g*(21g**)
小豆 8g*(20g**)
木綿豆腐 7g
キヌア 5g*(15g**)

*茹で後100gあたりのタンパク質量
**茹で前(乾燥時)100gあたりのタンパク質量

もし既にこれらの食材を持っていたら、ビーガンやベジタリアン対応時にさっと加えるだけで、料理としての完成度が高まること間違いなしです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、ビーガン・ベジタリアン専用メニューを用意していなくても即席で対応ができちゃう、菜食における食材選びの基本情報をお届けしました。

いきなり「実はベジタリアンなのですが…」とか「ビーガンでも食べられそうなものはありませんか?」なんて言われても戸惑ってしまいますが、今回お届けした情報さえ頭に入れておけば、臨機応変に対応できるでしょう。

海外からの外国人旅行者の増加と比例して、日本でもビーガンやベジタリアンは増え続けています。

菜食主義の人が、そうでない友達と一緒に日本を旅行するパターンもよくあるので、菜食メニューのないお店にガチガチのビーガンがいつやってくるかわかりません。

そんな時にもしっかりと日本流の”おもてなし”ができるよう、ぜひ参考にしてみてください。