ビーガンは危険?ベジタリアンでも注意が必要な重要栄養素6選

一列に並ぶ豆、カシューナッツ、デイツ

ビーガンやベジタリアンなどの食生活には、「野菜だけなんて絶対栄養不足」というイメージも強く、栄養面の懸念が実践を遠ざける要因の一つとなっています。

100年以上元気に生きるビーガンがいる一方で、数ヶ月もせずに「元気がなくなった」と言ってやめてしまう人もしばしば。

そんなビーガンやベジタリアンですが、簡単な栄養学の知識さえあれば、栄養不足のリスクを限りなくゼロに近づけることができ、以前よりも健康に生活することが可能です。

そこで今回は、健康的にベジタリアンやビーガンの実践するのに役立つ6種類の栄養素について、栄養学を元に解説します。

「オシャレだし、やってみるか」といった感じの軽いノリではじめるのもいいですが、ここに出てくる栄養素だけでもしっかり頭に入れておきましょう。

ビーガンとベジタリアンに不足しがちな栄養素

まず初めに明確にしておくべきことは、「動物性食品だけから摂取できる栄養素は存在しない」ということです。

言い換えると、「動物性食品から摂取できる栄養素の全ては、植物から摂取できる」ということになります。

「どこから何を摂取するか」が鍵

「どの食べ物に、何の栄養素が含まれているか」という基礎知識を持っておけば、植物だけの食事から必要な栄養素をきちんと摂取することは難しくありません。

しかし、お肉やお魚を含む従来の食生活からヴィーガンなどを始める際、単純に「お肉やお魚を抜いただけ」のような食事が中心となってしまう人も多いのが実情です。

そうした食事を長期間続けるてしまうと、なんらかの栄養不足に陥ってしまう可能性がありますので、栄養素を意識した食生活が大切です。

知っておくと安心な栄養素10種

一般的な雑食の食生活において、お肉やお魚などの動物性の食材からの摂取が多く、菜食をすることで不足しがちな栄養素は、主に以下の6種です。

  1. タンパク質
  2. カルシウム
  3. 鉄分
  4. 亜鉛
  5. ビタミンB12
  6. オメガ3脂肪酸(DHA&EPA)

この6の栄養素がどんな植物に含まれているのか頭に入れておくと、安心してヴィーガンやベジタリアンを実践できます。

ビーガンとベジタリアンが知っておくべき栄養素

早速、ビーガンやベジタリアンが知っておくと安心な6種類の栄養素を、一つずつみていきましょう。

タンパク質

まずは、タンパク質です。

牛肉などの赤肉には、100gあたり約25gのタンパク質が、ササミ肉など脂肪の少ない肉には100gあたり30g以上のタンパク質が含まれています。

魚介類もタンパク豊富な食材で、マグロ100gに28g、サーモン100gに約22g、エビ100gに24gのタンパク質が含まれています。

豆類、ナッツ類に豊富なタンパク質

普通の食生活(雑食)では、タンパク源をこれらの動物性食材に頼っているケースが多いため、ヴィーガンやベジタリアンを実践する時は少し意識してタンパク質を摂取する必要があります。

もちろん、普段から豆類やナッツ類など、タンパク豊富な食材を食べている人は心配する必要はありませんが、念のため、どんな食材にタンパク質が豊富に含まれているか確認しておきましょう。

食材 タンパク質/100g
大豆 35g(8g*)
レンズ豆 26g(9g*)
インゲン豆 24g(9g*)
アーモンド 21g
黒豆 21g(8g*)
ピスタチオ 20g
小豆 20g(8g*)
ひよこ豆 19g(9g*)
カシューナッツ 18g
納豆 18g

*()内は茹で時100gあたりのタンパク質量

大豆は肉を上回るほどのタンパク質含有量で、さらにアミノ酸スコアも満点の100です。

タンパク質不足による健康被害

リストにない食材でも、白米や玄米などの米類や、ブロッコリーなどの野菜にもタンパク質は含まれているので、極端に食べる量が少ないなどの状態でない限り、それほど心配はいりません。

ただ、タンパク質は、私たちの筋肉や肌、髪の毛や爪、さらには内臓までもを構成する原料となっていて、私たちの身体に欠かすことのできない栄養素です。

タンパク質が不足すると肌や髪のトラブルだけでなく、免疫力の低下などにもつながり、身体の様々な機能に悪影響をもたらす可能性もあるので、ビーガンやベジタリアンを実践する際には、少し意識してみるといいでしょう。

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カルシウム

次は、カルシウムです。

「カルシウムといえば牛乳」というイメージがあるため、乳製品も口にしないビーガンとなるとカルシウム不足が心配になるかもしれません。

もちろん、牛乳はカルシウム含有量の多い食材で、100mlあたり125mgものカルシウムが含まれています。

牛乳や煮干しなどイメージが強く、植物に含まれているかどうかもあまり考えたことのない人も多いかもしれませんが、実はカルシウムは植物にも豊富に含まれている栄養素です。

ゴマやひじきに豊富なカルシウム

植物で特に含有量が多いのはゴマで、100gあたり約1,200mgものカルシウムが含まれています。

さらに、海藻類にもカルシウムは豊富で、ひじきは100gあたり約1,400mgものカルシウムが含まれています。

その他、カルシウムの含有量が多い植物トップ10で確認しておきましょう。

食材 カルシウム/100g
ひじき 1,400mg
ゴマ 1,200mg
わかめ 960mg
昆布 940mg
チアシード 640mg
切り干し大根 500mg
だいこん葉 260mg
アーモンド 260mg
ケール 220mg
小松菜 170mg

1日あたり650mgが目安のカルシウム

日本人のカルシウム1日目安摂取量は650mgで、意識すればこの数字をクリアするのはそれほど難しいことではありません。

ゴマは大さじ一杯(9g)で約108mgのカルシウムが含まれていますので、カルシウム源が気になる時には、ささっと料理の上に振りかけたりするのもありでしょう。

カルシウムの吸収を助けるビタミンD

カルシウムを意識する際に、もう一つ頭に入れておいて欲しいのがビタミンDです。

カルシウムを体内で吸収するためにはビタミンDが必要で、いくらカルシウムをたくさん摂取してもビタミンDがなくてはうまく吸収されません。

ビタミンDを生成するために日光に当たることに加え、ビタミンDが豊富なしいたけなどのきのこ類の摂取も忘れないようにしましょう。

鉄分

次にみておきたい栄養素は、鉄分です。

貧血対策に重要な鉄分といえば、レバーやうなぎの肝、アサリなどの貝類が有名ですが、植物性の食材からも簡単に摂取することができます。

豆類やナッツ、海藻類に豊富な鉄分

植物性の食材には鉄分が豊富なものが多く、大豆やレンズ豆などの豆類、ゴマなどのシード類やカシューナッツなどのナッツ類、海苔などの海藻類に多く含まれています。

食材 鉄分/100g
焼き海苔 11.4mg
大豆(乾燥) 8.6mg
湯葉(乾燥) 8.3mg
ひじき 6.2mg
カシューナッツ 4.8mg
アーモンド 3.7mg
レンズ豆 3.3mg
大根の葉 3.1mg
小松菜 2.8mg
ほうれん草 2.0mg

植物性の鉄は動物性よりも吸収が悪い?

動物性の鉄分と植物性の鉄分は厳密には種類が違い、一般的には植物性の方が動物性よりも吸収が悪いとされていますが、ビタミンCを同時に摂取することによって、植物性の鉄分の吸収が良くなることが確認されています。

ビタミンCは野菜に豊富な栄養素ですので、野菜中心のビーガンやベジタリアンであれば鉄分の吸収率は高くなるため、心配ありません。

1日あたり7〜10mgが鉄分の摂取目安

日本人は、年齢や性別にもよりますが、1日あたり7~10mgの鉄分を摂取することが推奨されています。

鉄分が不足すると貧血やだるさ、頭痛などにもつながる可能性があるので、リストにある鉄分豊富な食材を意識的にメニューに入れておくといいでしょう。

亜鉛

次の栄養素は、亜鉛です。

亜鉛といえばなんと言っても牡蠣ですが、植物だけでも簡単に摂取できる栄養素です。

オートミールやシード類に豊富な亜鉛

日本人の亜鉛の摂取目安量は、一日あたり男性で12mg、女性の場合9mgです。

オートミール(小麦)100g中には約4mgの亜鉛が含まれていて、その他にもゴマなどのシード類に豊富に含まれていて、意識的に摂取すれば簡単に目安量をクリアできます。

また、大豆やレンズ豆、ひよこ豆やグリンピースなどの豆類にも亜鉛は含まれています。

食材 亜鉛/100g
ゴマ 7.8 mg
パンプキンシード 7.6mg
カシューナッツ 5.4mg
凍り豆腐 5.2mg
ひまわりの種 5.0mg
チアシード 4.6mg
アーモンド 4.4mg
フラックスシード 4.3mg
オートミール 4.0mg
レンズ豆 3.3mg
大豆 3.2mg

気持ち多めの摂取がおすすめ

植物にも豊富な亜鉛ですが、ビーガンやベジタリアンの場合は目安よりも意識的に多めに摂取することが推奨されます。

理由は、植物に含まれるフィチン酸やシュウ酸で、これらには亜鉛などのミネラルの吸収を妨げる作用があります。

上記のリストにある食材を食べていればサプリメントなどに頼る必要はありませんが、ちょっと多めの摂取を意識してもいいかもしれません。

ビタミンB12

次に確認しておきたいのが、ビタミンB12です。

実は、人間にとって必須であるビタミンB12は、微生物(バクテリア)のみが生産できるビタミンで、植物だけでは摂取が難しい栄養素です。

植物では海苔だけに含まれるビタミンB12

唯一ビタミンB12が含まれている植物は海苔で、100gあたり約50μg(マイクログラム)のビタミンB12が入っているとされています。

ただ、含有量はビタミンB12を生産できる”バクテリアがどれだけ付着しているか”というところに左右されるため、含有量に大きな個体差があるため、「海苔だけ食べて入ればB12は大丈夫」という姿勢はあまりおすすめできません。

微生物だけが生産できるビタミンB12

ビタミンB12はバクテリアなので、例えば、土のついたままの野菜を食べたり、濾過されていない川の水を直接飲んだりすれば、ビーガンでもベジタリアンでもビタミンB12を摂取することができます。

ただ、現代のスーパーでは土も綺麗に落とされたものばかりですし、例え自然豊かな場所に住んでいたとしても、土がついたまま食べたら何か他の有害物質なども一緒に体内に取り込んでしまいかねません。

サプリメントでの摂取がオススメ

植物性の食材での摂取が難しいため、ビタミンB12に限っては、サプリメントでの摂取がおすすめです。

海外の有名なビーガンの栄養士や医師にも、ビタミンB12だけはサプリメントで補うよう推奨している人も多いので、安心のためにサプリで補っておきましょう。

お肉などにビタミンB12が多い理由

お肉などの動物性の食材には豊富に含まれるビタミンB12ですが、その理由は家畜飼料にビタミンB12を配合しているためです。

上述したように、ビタミンB12は微生物なので、正確に言うと”お肉の栄養素”ではなく、試料から体内に入り、”お肉の中に溜まった微生物”ということになります。

家畜飼料にはホルモン剤や薬品なども含まれているので、ベジタリアンやビーガンでなくても、直接サプリメントから摂取した方が健康的と言えるでしょう。

オメガ3脂肪酸(DHA&EPA)

6つ目の栄養素は、オメガ3脂肪酸です。

必須脂肪酸でもあるオメガ脂肪酸は青魚などのイメージが強いですが、こちらは植物からも十分に摂取できます。

DHAとEPAは実は必須脂肪酸ではない

「オメガ3脂肪酸と言えばDHA」というほどDHA(ドコサヘキサエン酸)が有名ですが、DHAは実は厳密にいうと必須脂肪酸ではありません。

オメガ3脂肪酸には

  • αリノレン酸(ALA)
  • ドコサヘキサエン酸(DHA)
  • エイコサペンタエン酸(EPA)

の3種類があって、必須脂肪酸なのは一つ目のαリノレン酸(ALA)だけです。

αリノレン酸から体内で作れるDHAとEPA

DHAやEPAがなぜ必須ではないかというと、αリノレン酸(ALA)から体内でDHAとEPAを生成できるためです。

よって、αリノレン酸(ALA)さえ十分に摂取しておけば魚を食べずとも健康上全く問題なく、ALAはチアシードなどのシード類やナッツ類、緑黄色野菜や藻類に豊富です。

オメガ3とオメガ6のバランスが鍵

“血液サラサラ”や”ボケ防止”などがオメガ3脂肪酸の健康効果として有名ですが、ただたくさん摂取すればいいのではなく、オメガ6脂肪酸とのバランスがポイントです。

オメガ3とオメガ6とのバランスは「1:4」がベストとされていて、この比率まで意識できるとより健康な体を手に入れられます。

オイルには脂肪酸が凝縮されているので、含有量でいうと表の上の方に並ぶ”油類”がダントツに多いですが、オメガ脂肪酸が豊富な植物性食材には以下のようなものがあります。

食材 オメガ3:オメガ6比率
えごま油 5.3:1.0
亜麻仁オイル 4.2:1.0
ヘンプシードオイル 1.0:2.0
マスタードオイル 1.0:2.6
亜麻仁種 3.9:1.0
チアシード 3.0:1.0
くるみ 1.0:4.2
メキャベツ 2.2:1.0
カリフラワー 3.4:1.0
ブルーベリー 1.0:1.5

「オメガ3脂肪酸が豊富な食材 = 健康的」という認識は間違いではないのですが、現代人の食生活にはオメガ6がすでに豊富に含まれていて、意識しないとオメガ6ばかりを多くを取りすぎてしまいます。

オメガ6はサラダ油などにも豊富に含まれているので、揚げ物が好きだったり、普通の油を使った料理をよく食べる方は既にたくさんオメガ6を摂取しているはずですので、「オメガ3が多く、オメガ6が少ない食材」を上手に活用し、バランスを整えるようにすると良いでしょう。

ビーガンのオメガ3脂肪酸についてもっと詳しく

肉を食べないと生きれない人はいない

ビーガンやベジタリアンでも、ビタミンB12をのぞいて、全ての栄養素を普段の食事から摂取することが可能です。

ビーガンやベジタリアンをはじめて「元気が出なくなった」などの変化を感じ、「私の身体に合ってない」と元の食生活に戻る人もたくさんいます。

しかし、これは「野菜だけの食生活が身体に合っていなかった」のではなく、単に「植物から必要な栄養素を摂取する方法を知らない」というケースです。

栄養学に基づいた実践がポイント

マクロビオティックなど、”思想”をベースとした食生活は栄養学的視点を軽視しがちですが、健康体でビーガンやベジタリアンを実践するには、栄養学に基づいで食材選びをすることが重要です。

栄養学に基づかない基準で「身体に必要・不要」の判断をしていると栄養素欠乏になるのは時間の問題ですので、菜食に目を向けるきっかけマクロビなどの思想であったとしても、健康に継続するためにはこれらの栄養素について理解を深めておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、知っておくと安心な、植物性食材の重要栄養素6選をお伝えしました。

栄養素の摂取源をお肉やお魚、卵など、動物性食品に頼りがちな現代人ですので、ベジタリアンやビーガンを実践する際には、ざっくりとした情報でもいいので「どの野菜になんの栄養素が含まれているか」を知っておくと安心です。

食べ物は私たちの体を作り上げる全てと言っても過言ではありませんので、ぜひ参考にしてみてください。

2 件のコメント

  • いろいろなことを、簡潔に教えてくださり、ありがとうございました!環境問題や食糧問題を深刻化させたくないので、ビーガンになりたいと思うようになりました。今日から、ビーガンになれるのがたのしみです!

  • 簡潔にまとまっていて助かりました!
    アップロードありがとうございます。

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