フレキシタリアンとは?大流行のセミ・ベジタリアンを詳しく解説

レストランでハンバーガーやサラダを食べる4人の友達

お肉やお魚を口にしないビーガンやベジタリアンなどの食生活は、今世界中で新たなトレンドになっています。

日本ではまだまだ浸透しているとは言えないこれらの菜食主義ですが、2018年に日本で大流行すると言われているのが、フレキシタリアン(Flexitarian)と呼ばれる食生活です。

お肉やお魚を完全に排除するビーガンやベジタリアンとは違い、このフレキシタリアンは「野菜中心の食生活だけど、たまにお肉やお魚も食べる」という柔軟なスタイルです。

今回は、始めるハードルも低く、実践する人が世界中で増加中のフレキシタリアンについて解説します。

フレキシタリアンとは

フレキシタリアンでも食べられるハンバーガー

まずは、言葉の意味から解説すると、フレキシタリアン(Flexitarian)は、「柔軟な」という意味の英語であるフレキシブル(Flexible)に、食生活の名前でよく使う「〇〇タリアン」をくっつけた言葉です。

セミ・ベジタリアン(Semi-vegetarian)とも呼ばれることもあるこの食生活ですが、ベジタリアンとの混同を避けるために”フレキシタリアン”と呼ばれることが一般的です。

“フレキシタリアン”は、食の流行語を発表しているアメリカの機関によって、2003年に最も便利な言葉に選ばれています。

お肉を減らすフレキシタリアン

セミ・ベジタリアンという言葉からも想像できるように、フレキシタリアンの基本は野菜のみのベジタリアンになります。

基本はベジタリアンのようにお肉やお魚を含まない食事だけを口にするのですが、「週1日だけ」とか「週末だけ」とか、その人のライフスタイルに合わせて限定的に”今まで通りお肉を食べる日”を設けるという食生活です。

どれくらいお肉を食べるかはその人次第

フレキシタリアンの中には、お肉やお魚を食べてもよしとする日数が1週間に3日あったり、「週4日お肉やお魚を食べる時もある」という人も中にはいます。

“ベジタリアンをベースにした食生活”の呼称がフレキシタリアンですので、基本的に週の半分以上はベジタリアンを実践していることが前提ですが、「週に◯日までしかお肉を食べちゃダメ」という決まりは特にありません。

ベジタリアンではないものの「可能な限りベジタリアンを実施している」とか「お肉やお魚を摂取しない日の方が多い」という人全てがフレキシタリアンに当てはまります。

ベジタリアンとビーガン、フレキシタリアンの違い

フレキシタリアンも食べるチキンサラダ

基本がベジタリアンとなるフレキシタリアンですので、ベジタリアンの定義も念のため確認しておきましょう。

ベジタリアンはお肉とお魚を全く食べませんが、卵や牛乳などの動物性食品は口にします。その一方で、ビーガンと呼ばれる菜食は、お肉やお魚に加え、卵と乳も口にしません。

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ベジタリアン × ×
ビーガン × × × × ×

ベジタリアンではなく”ビーガン”を基本にする場合はセミ・ビーガン(Semi-vegan)とも呼べますが、「たまに肉や魚を食べる」というくくりで、こちらもフレキシタリアンに含まれます。

お肉を食べるベジタリアンはフレキシタリアン

ちなみに、「ベジタリアンですが鶏肉だけは食べます」というような人をたまに見かけますが、お肉・お魚を”全く口にしない人”をベジタリアンと言うので、こうした食生活はフレキシタリアンになります。

また、「お肉は全く食べないけど魚は食べる」というタイプの人は、ペスカタリアン(Pescatarian)と呼ばれます。

ペスカタリアンについて)

ミートフリー・マンデーとフレキシタリアン

ポール・マッカートニーが提唱するミートフリー・マンデー(Meat-free Monday)というキャンペーンが、日本でも少しずつ注目を集めていますが、このキャンペーンを通してフレキシタリアンを試す人が増えています。

ミートフリーマンデーは日本語にすると「お肉なしの月曜日」で、「月曜日はお肉を食べない日にしましょう」という働きかけです。

「お肉を食べない日」を試すきっかけ

「お肉やお魚を全く食べない日」を経験したことがない人にとって、いきなり”〇〇タリアン”というのはハードルも高いですし、名前を聞くだけで嫌悪感すら覚える人もいます。

しかし、「月曜だけ」であれば実践ハードルも低いですし、今まで見向きもしなかった人にとっても、「ベジタリアンメニューを頼んでみようかな」なんてきっかにもなっています。

ミートフリー・マンデーを通して、菜食料理に対する「意外と簡単」「意外と美味しい」などの気づきがあり、そのままフレキシタリアンを実践することになった人も数多くいます。

海外セレブの支持者多数

ミートフリー・マンデーのキャンペーンは、元ビートルズのポール・マッカートニーと実娘のステラ・マッカートニーによって2009年に始められ、年々規模が拡大しています。

特にイギリスやアメリカを中心に話題で、ジョン・レノンの妻として有名なオノ・ヨーコやイギリス人有名シェフのジェイミー・オリヴァー(Jamie Oliver)なども、この活動を支持しています。

フレキシタリアンを実践する理由

フレキシタリアンもよく行くおしゃれなレストラン&カフェ

今後、日本でも流行すること間違いなしのフレキシタリアンですが、なぜ実践者が世界中で増加しているか、動機も一度確認しておきましょう。

人々がフレキシタリアンを実施する背景には、

  1. お肉は身体に悪いと考える
  2. 畜産は環境に悪いと考える
  3. 屠殺は残虐と考える
  4. ベジタリアン実践は難しすぎると考える

という4つの動機があります。

一つずつみていきましょう。

1. お肉は身体に悪いと考える

バーベキューで焼くお肉とソーセージ

第一に、お肉の摂取が身体に悪いと考えることが、フレキシタリアンを実施する背景にあります。

お肉を食生活から減らすことは、肥満の解消だけでなく、糖尿病やガン、心疾患のリスク低減にも繋がることは医学的に認められていて、これらは「禁煙で肺がんのリスクが下がる」と同じレベルで、疑いようのない事実です。

お肉なしで慢性疾患のリスク低減

近年は、これらの情報がいたるところで語られるようになり、欧米を中心に「お肉は少ない方が身体に良い」という認識が浸透してきたことが、フレキシタリアン人口増加を後押ししています。

ただ、ベジタリアンやビーガンのような「お肉完全に排除する」という極端な食生活は不便でストレスも大きいので、”可能な範囲でできる限り”というバランス感覚の良いフレキシタリアンが選ばれることが増えています。

魚に含まれる化学汚染物質

魚介類においては、DHAやEPA(オメガ3脂肪酸)など、健康にも寄与する成分が注目されていますが、一方で、水銀やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、ダイオキシンなどの化学汚染物質が含まれていることも問題視されています。

魚の養殖でも、殺虫剤や抗カビ剤、抗生物質などの薬品使用と健康被害が問題視されていて、天然であろうと養殖であろうと「魚 = 化学物質のかたまり」といった見方が欧米を中心に浸透しつつあります。

フレキシタリアンがお肉だけでなくお魚も食生活から減らす背景には、人体に有害と確認されているこれらの化学汚染物質の摂取を極力減らしたいという動機があります。

2. 畜産は環境に悪いと考える

空から見下ろす家畜(牛)

フレキシタリアン実践の動機として健康改善に次いで多いのが、畜産による環境破壊を低減したいというモチベーションです。

にわかに信じがたいことかもしれませんが、畜産(お肉を生産する過程)は、車よりも多くの温室効果ガスを排出し、大量の水を消費し、森林伐採の主要因ともなっている巨大産業です。

お肉を減らして温暖化ストップ

地球温暖化は私たちに人類にとって最も大きな環境問題の一つですが、その原因となる温室効果ガスは畜産からも大量に排出されています。

車の排気ガスが大きな注目を集める”温暖化問題”ですが、意外なことに、車やトラック、飛行機や船など全ての交通機関を合わせるよりも、お肉の生産過程から出る温室効果ガスの方が多いです。

人間由来の総温室効果ガスの51%が畜産から出ているとした研究もあり、「お肉の消費を減らす」ことで地球温暖化対策となると考え、フレキシタリアンを実践する人もいます。

広大な土地と水を必要とする畜産

また、家畜を育てるためには広大な土地と大量の水が必要になります。

75億人の食料として、毎年約600億の家畜が育てられていますが、彼らは全人類の何倍もの食べ物と水を消費していて、その飼料生産には大規模な自然破壊が伴っています。

畜産業は既に地球上の1/3もの森林を破壊していて、こうした環境破壊をどうにかしたいという動機でお肉を口にしない人もいます。

魚消費減で枯渇を食い止める

「魚がとれない」「魚の価格が高騰」という類のニュースを目にする機会も増えているかと思いますが、魚の枯渇も重大な問題となっています。

日本では「異常気象が原因」などと報道されるこうした情報ですが、魚の減少は、人間が獲りすぎたことによる個体数の減少であることは疑いようがありません。

国連(NU)も、海の80%がこれ以上魚を取ることができない状態だと勧告していて、このような枯渇問題をこれ以上加速させないためにも、魚を極力消費しないフレキシタリアンを実践する人がいます。

養殖による環境破壊も

また、天然魚の枯渇には”養殖が解決策”とする見解もありますが、養殖による環境破壊も深刻で、「天然であろうと養殖であろうと魚を食べない」というのが一般的なフレキシタリアンです。

地球上のマングローブの35%がエビ養殖によって消滅していたり、養殖場開拓のためにサンゴ礁が破壊されたり、養殖による環境破壊も問題視されています。

また、養殖に必要な殺虫剤などの薬品は自然界にそのまま流されているため、養殖による水質汚染がもたらす生態系への悪影響も顕在化しつつあります。

3. 屠殺は残虐と考える

屠殺後、出荷前に吊る下げられる牛肉

次の動機は、動物愛護的な視点にはなりますが、畜産業や漁業の残虐さを理由にお肉やお魚の消費を減らしている人もいます。

アースリングス(Ealrthlings)というドキュメンタリーなど、畜産や漁業の実情を伝える映像も近年欧米諸国で話題となっていて、倫理的な理由で動物性食品の摂取を控えたいと考える人も増えています。

生産過程によって屠殺を問題視しないことも

また、動物愛護的な視点であっても、”生き物を殺して食べるということそのもの”を否定する人もいれば、”工場化された現行の畜産システム”だけを悪とみなす人もいます。

後者の場合、普通のお肉はダメでも、牧草地で育った(グラスフェッド:Grassfed)牛の肉や乳、平飼い飼育(ケージフリー:Cage Free)された鶏の肉や卵であるなら問題なく、「こうしたオプションがある時だけお肉を食べる」としているフレキシタリアンもいます。

魚介類に関しても、イルカや亀なども一緒に捕獲されてしまう網漁を悪とみなし、「一本釣りされたものだったら食べる」というパターンのフレキシタリアンもいます。

4. ベジタリアン実践は難しすぎると考える

疲れ果ててベッドに横たわる少女

フレキシタリアンの中には、健康や環境保全、動物愛護など、様々な視点から、出来ることならフルタイム(24時間365日)でベジタリアンやビーガンを実践したいと考えている人も多いです。

ただし、お肉やお魚を完全に食事から排除すると、外食がものすごく不便になってしまったりと、生活上の問題も多々出てきてしまう可能性があります。

ストレスにならない程度に実践

「何度かベジタリアンを試みたものの、難しすぎて継続できなかった」ということでフレキシタリアンを実践している人も非常に多いです。

そうした人たちは、”ベジタリアンやビーガンを理想”としながらも過去の経験から、ゆとりを持たせて「継続可能な範囲でベジタリアンを実践したい」というスタンスでフレキシタリアンに落ち着いたりもします。

第一ステップとしてのフレキシタリアン

また、フレキシタリアンとして意図的に「お肉・お魚を食べる頻度」を減らしていき、徐々にベジタリアンやビーガンを目指していくパターンもあります。

いきなり食生活を大きく変えることは容易ではないため、ビーガンやベジタリアンへのファーストステップとして、フレキシタリアンを実践することも、珍しくありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、世界中で実践する人が急増している、フレキシタリアン(Flexitarian)についてお伝えしました。

健康問題や環境問題などの解決策として、日本でも今後さらに注目を集めるベジタリアンやビーガンなどの菜食ですが、なかなかハードルも高くて実践しにくいかと思います。

そんな時は、まずはフレキシタリアンとして、自分のライフスタイルに合った形で実践してみるといいでしょう。

また、ダイエット(減量)のリバウンドと一緒で、食事でお肉・お魚を制限することがストレスになってしまうと、その反動として、「ベジタリアンじゃなくてもいい日」にお肉やお魚を暴食してしまう可能性も考えられます。

お肉やお魚を口にしない日が増えたとしても、トータルで食べている量が結局以前と変わらなければ、健康や環境にとって、何一つメリットはありません。

継続可能で、ストレスにならない範囲を見つけて、賢く実践してみましょう。

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