ビーガンとは?ヴィーガンとベジタリアンの違いや菜食主義の全て

ビーガン用のスーパーに並ぶ多種の野菜

菜食の一つとして、今注目を集めているビーガン(Vegan)。

“完全菜食主義”や”絶対菜食主義”とも訳されるビーガン(ヴィーガン)ですが、なんだか和名がとても威圧的で、自分とは無縁と感じる人も多いかと思います。

また、菜食主義というと、動物愛護とか、宗教的思想なんかも強そうなイメージで、「狂った人たちのやることや」と嫌悪感さえ持つ人もいるでしょう。

しかし、アメリカやドイツ、イギリスなどの欧米諸国では、いたってカジュアルに、”単なる食の選択肢の一つ”として浸透していて、日本においてもこの先数年間で急速に普及していくことが予測されています。

賛同できるかどうかや、実践するかどうかはさておき、これから日本で暮らす上で知っておくべきトピックになりますので、ビーガンについて詳しく、そしてどこよりもわかりやすく解説します。

ビーガン(ヴィーガン)とは

テーブルの上に置かれた緑黄色野菜

まず、ビーガンとは一体なんなのか、ということからみていきましょう。

最近の若者の間で人気のビーガン(ヴィーガン)ですが、この言葉自体が生まれたのは意外と昔の1944年です。

当時はベジタリアンという言葉しかなかったのですが、イギリス人のおじさん、ドナルド・ワトソン(Donald Watson)が「今のベジタリアン気に食わんな」ということでヴィーガンという言葉を作りました。

ビーガンという言葉の起源

ヴィーガンという言葉自体に深い意味はなく、単純にベジタリアン(Vegetarian)の短くしたものです。

ヴィーガンの生みの親であるワトソンが、なぜ当時のベジタリアンに納得いっていなかったかというと、ベジタリアンは「卵や乳を口にしていたから」です。

適切な言葉がなかったから作った

ワトソンは、なんでも疑問に思ってしまう面倒臭いおじさんで、「卵には鶏が、乳には牛が必要やん?こいつらマシーンみたいに働かされとるけど、ええの?」という疑問から、卵も乳も口にしないダイエットの概念を新たに作りました。

現在においても、ビーガンはお肉やお魚だけでなく卵や乳も口にしない食生活のことを指し、一方のベジタリアンは、お肉とお魚だけを食べない食生活のことを指しています。

ビーガンとベジタリアンの違い

ベジタリアンよりもマイナーなビーガンですが、このふたつの違いを簡単に説明すると、下の表のようになります。

カテゴリー
ビーガン × × × ×
ベジタリアン × ×

また、ビーガンはこれらに加えて蜂蜜も口にしないのが一般的です。

ちなみに、ビーガンが食べないものは、ワトソンの時から基本的に変わっていません。

しかし、医学と栄養学の発展、畜産の巨大産業化、環境問題の顕在化などに伴い、現代のビーガンの本質は当時と大きく異なるものになっています。

3種類に分けられるビーガン

ビーガンのデトックスドリンク

お肉、お魚、卵、乳、蜂蜜を口にしない人は基本的にみんなビーガン(ヴィーガン)と呼びますが、あえて細分化しようとすれば、3つのジャンル(動機)に分けることができます。

  1. ダイエタリー・ビーガン(健康改善)
  2. エンバイロメンタル・ビーガン(環境保全)
  3. エシカル・ビーガン(動物愛護)

これら全てを動機に実践するケースが多く、この細分化はあまり実用性がないですが、「ふーん、こんなんあるんか」くらいの感覚で目を通しておいてもいいかと思います。

1. ダイエタリー・ビーガン(Dietary Vegan)

まず、ダイエタリー・ビーガン(Dietary Vegan)と呼ばれるヴィーガニズムです。

ダイエタリー(Dietary)は「食の」という意味の英語で、無理やり訳すと「食のヴィーガン」となります。

「動物性食品は身体に良くない」と考えるタイプのビーガンで、健康上の懸念から実践する場合が多く、食以外では特に動物性のものを制限しません。

食だけにフォーカスを当てているダイエタリー・ビーガンですので、動物愛護的にはNGな革製品や毛皮を使うことに抵抗がない人たちです。

2. エンバイロメンタル・ビーガン(Environmental Vegan)

次は、エンバイロメンタル・ビーガン(Environmental Vegan)と呼ばれるヴィーガニズムです。

エンバイロメンタル(Environmental)は「環境の」という意味の英語で、環境保全を動機に実践するヴィーガンです。

詳しくは後述しますが、畜産は車よりも多くの温室効果ガスを排出していたり、森林伐採の主要因になっていたりする巨大産業です。

このような環境破壊を「止めてぇ」とか「絶対止めらんねぇけど貢献したくねぇ」という思いで、動物性食品を避けて生きているのが、このエンバイロメンタル・ヴィーガンです。

3. エシカル・ビーガン(Ethical Vegan)

3つ目は、エシカル・ヴィーガン(Ethical Vegan)というヴィーガニズムです。

エシカル(Ethical)には「倫理的な」とか「道徳的な」という意味があり、食はもちろん、ファッションにもうるさいタイプのヴィーガンです。

エシカル・ビーガンは、「動物かわいそうやから使ったらあかん」という動物愛護的な視点を元に、レザーやウール、毛皮など動物性のものを着用せず、虫であるカイコから作った絹(シルク)の製品をも避けます。

また、動物実験にも反対で、マウス実験などを経て開発された化粧品や日用品なども、避ける傾向にあります。

世界で増加中のビーガン

一箇所に集中する大勢の人々

様々な理由によって実践する人がいるビーガンですが、特に、ここ数年での欧米諸国におけるヴィーガン人口の増加には、目を見張るものがあります。

そんな世界でのトレンド推移を数字で紐解き、その流行の裏側も簡単に理解しておきましょう。

ヴィーガンの世界トレンド推移

世界各地で急増しているビーガン(ヴィーガン)ですが、アメリカ、イギリス、ドイツなどの欧米先進国では実践者の増加が特に顕著です。

ここ数年でビーガン人口が数倍に増加したところも多く、今や「10人に1人以上がビーガンもしくはベジタリアン」という国もあります。

新たなスタンダードとして浸透しつつあるヴィーガントレンドの推移を、もう少し詳しくみていきましょう。

※台湾やインドなどもヴィーガン人口は多いですが、宗教的背景が強く、”トレンド”とは言えないため、今回の記事では割愛します。

アメリカではヴィーガン500%増

近年で最もビーガンの実践者が増加した国は、アメリカ合衆国です。

2009年から2017年までの8年間で、ヴィーガン人口は6倍に増加し、現在は2,000万人近くの実践者がいると推測されています。

アメリカ人といえば「お肉大好き(トランプ大統領みたいな)」というイメージがありますが、都市部に住むリベラル派の若者を中心に、ビーガン人口が増加しています。

菜食人口3.6倍のイギリス

イギリスもここ数年でのヴィーガン増加が顕著な国の代表格で、2012年からの5年間でビーガン・ベジタリアンは3.6倍に増加し、首都ロンドンには約80店舗の専門レストランができています。

ヴィーガンとベジタリアンを合わせて約60万人がいると推測されるイギリスですが、イギリス人であるポール・マッカートニーが推進する「ミートフリー・マンデー(Meat-free Monday)」というキャンペーンなどの影響もあり、フレキシタリアンの実践者も増えています。

ドイツでは10人に1人以上

ドイツでは、全人口の約10%がヴィーガンかベジタリアンとされていて、世界でも有数の菜食者割合の高い国です。

また、ビーガンやベジタリアンは特に首都ベルリンに多く、最新の調査では「市民の約15%がビーガンかベジタリアン」だと推定されています。

もともと菜食実践者の多いドイツですが、2008年頃からはビーガンインフラも充実していき、ベルリンでは新たに60店舗近くのビーガン・ベジタリアン専門レストランがオープンしています。

世界のビーガントレンドをもっと詳しく)

若い世代と都市部に多いヴィーガン

欧米の街を歩くたくさんの人々

ヴィーガンやベジタリアンの人口調査の多くで「実践者の半数以上が35歳未満」という結果が出ているように、ビーガニズムは若い世代が牽引しているトレンドです。

また、”Vegan”という単語のGoogle検索数は、2015年に前年比32%増、2016年には前年比90%増となっていて、ネットによる情報収集が積極的なこの世代から大きな注目を集めているトピックであることが伺えます。

逆に、ネットを使わない年上の世代はビーガン人口の増加が緩やかなのですが、ヴィーガン実践のきっかけとなる情報(動物性食品の健康被害、畜産による環境破壊、屠殺の実態など)のほとんどがネット上にあるということが関係していると思われます。

都市部のリベラル派を中心に浸透

ヴィーガンやベジタリアンは保守的思考の人たちには受け入れられておらず、実践者のほとんどがリベラルな思考(既定概念にとらわれず、多様性を受け入れる先進的思考)を持った人たちです。

アメリカでは、ビーガンやベジタリアンを実践する人はリベラル派が約95%を占めていて(保守派の人は5%未満)、新しい概念を吸収しやすい思考を持った人々の間だけで受け入れられている考えと言えます。
※トランプみたいな「アメリカ最高!メキシコ人出てけ!!」の人は典型的な保守派です。

リベラル思考の人は都心部に集中する傾向もあるため、ビーガンやベジタリアンは、アメリカではニューヨークやロサンゼルス、イギリスではロンドン、ドイツではベルリンなどの主要都市に多くなっています。

ビーガン関連のドキュメンタリーの影響

ドキュメンタリーの撮影現場

欧米諸国における近年のヴィーガン人口増加の背景には、畜産にまつわる問題提起をするドキュメンタリーが、多数公開されたことも大きく影響しています。

最新のアメリカの調査では、ビーガンとベジタリアン実践者の約40%が「ドキュメンタリーを観て今の食生活を始めた」と答えていて、質の高い映像は、人々の食の選択にも多大なる影響を与えています。

動物性食品と健康問題のドキュメンタリー

ビーガンやベジタリアンの約6割が「健康のために」という動機で実践していて、実践理由のトップとなっています。

お肉やお魚、卵や牛乳など、動物性食品摂取の健康への悪影響を訴えたドキュメンタリーとして代表的なものは、以下の二つです。

  • “フォークス・オーバー・ナイブズ(Folks Over Knives)”(2012年)
  • “ワット・ザ・ヘルス(What the Health)”(2017年)

私たちが毎日口にしている食べ物を全面否定する内容なので、お医者さんや食品会社などの利害関係者や、保守派の人たちから相当叩かれもしましたが、これらをきっかけにビーガンやベジタリアンを始めた人は数多くいます。

ちなみに、先に出てきた3種類のヴィーガニズムに当てはめると、これらのドキュメンタリーを観てヴィーガンになった人は、ダイエタリー・ヴィーガン(Dietary Vegan)と呼ぶことができます。

畜産と環境問題のドキュメンタリー

畜産の環境問題も、ビーガンやベジタリアンを実践する大きな動機ですが、畜産による環境問題を描いた2014年の”カウスピラシー(Cowspiracy)”というドキュメンタリーをきっかけに、ビーガンやベジタリアンを始めた人も非常に多いです。

また、畜産にクローズアップしたものではないですが、元アメリカ副大統領のアル・ゴアによる”不都合な真実(An Inconvenient Truth)”や、レオナルド・ディカプリオによる”地球が壊れる前に(Before the Flood)”などのドキュメンタリーも、環境問題に人々の目を向けさせた、影響力のあるフィルムです。

こうした地球環境問題を動機に始めるビーガンは、エンバイロメンタル・ヴィーガン(Environmental Vegan)と呼ぶこともできます。

畜産現場の残虐さのドキュメンタリー

また、畜産の現場を撮影した映像を世界中から集め、「動物好き」の人を次々とビーガンに変身させたのが、”アースリングス(Earthlings)”というドキュメンタリーです。

このドキュメンタリーは食用家畜の屠殺現場だけでなく、ファッション業界やペット産業における動物の扱いも映しているため、動物性食品を食べなくなっただけでなく、「毛皮は絶対着ない」とか、「ペットは絶対ペットショップから買わない」という考えになった人も多いです。

また、水族館の生き物の扱いを取り上げた”ブラックフィッシュ(Blackfish)”(2013年)というドキュメンタリーも、水族館や動物園に行く人を激減させた、影響力あるフィルムです。

こうした動物愛護的視点からヴィーガンを実践する人は、エシカル・ヴィーガン(Ethical Vegan)にカテゴライズできます。

増えるビーガンの著名人

影響力のあるドキュメンタリーに加え、ここ数年の間で数多くの著名人がビーガンを始めたり、ビーガンだとカミングアウトしたことも、海外での流行を加速させている背景にあります。

日本でも有名な人だけ、ピックアップしてみます。

アリアナ・グランデ(Ariana Grande)

まずは、日本でも知らない人はいない、歌手のアリアナ・グランデ。

現在24歳のアリアナですが、約3年前の21歳の時に自身のツイッターでヴィーガン宣言し、以降継続しています。

インタビューでもヴィーガンについて話していて、動物愛護的な価値観と健康向上の理由から実践しているようです。

ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)

映画”レオン”の少女マチルダ役や、”ブラック・スワン”の主演としても有名なナタリー・ポートマンも、ヴィーガンの一人です。

妊娠中には卵を食べたこともあったようですが、2009年以降ヴィーガンを実践しています。

マイリー・サイラス(Miley Cyrus)

若い世代に人気の歌手、マイリー・サイラスも、ヴィーガン実践者の一人です。

動物愛護を理由に2014年から継続していて、インスタグラムなどのSNSで毛皮や狩猟に反対するメッセージなどを発信したりもします。

大胆発言も多いので、大嫌いと大好きが分かれるタイプの人です。

アン・ハサウェイ(Anne Hathaway)

“レ・ミゼラブル”のフォンティーヌ役や、”プラダを着た悪魔”などにも出演したアン・ハサウェイも、ヴィーガンとして話題となった人物です。

ただし、映画のハードな撮影中にどうしても魚が食べたい衝動に駆られたようで、2015年以降はヴィーガンは実践していないようです。

ポール・マッカートニー(Paul McCartney)

ビートルズのメンバーは全員ヴィーガンとして有名ですが、現在も啓発活動に積極的なのがポール・マッカートニーです。

実娘のステラ・マッカートニーは、表参道にも店舗がある”動物性素材不使用”の高級ファッションブランドを経営していますが、親子共に「月曜日はお肉を食べない日にしよう」と呼びかけるミートフリー・マンデー(Meat-free Monday)の発起人でもあります。

レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)

日本中の誰もが知るレオナルド・ディカプリオも、ヴィーガンの一人です。

ディカプリオは、環境活動家としても有名な俳優ですが、畜産の環境破壊を理由にヴィーガンを実践しています。

最近も環境問題を訴えるデモに参加したり、畜産の実情を伝えるドキュメンタリー制作に携わったり、植物性のお肉を作る会社に投資したりと、”環境フリーク”と呼べるほど積極的です。

ブラッド・ピット(Brad Pitt)

ブラピこと、ブラッド・ピットも、肉、魚、卵、乳を口にしないヴィーガンです。

最近はアンジェリーナ・ジョリーとの離婚の話題で盛り上がっていますが、ブラッド・ピットは環境問題と動物愛護双方の動機から、1989年以降ヴィーガンをしています。

なぜビーガンになるかの理由

クエスチョンマーク(?)の形をした謎めいた光

欧米でビーガンを実践する人が急増している背景には、メディアや著名人など、様々な要素が関連していることが見えてきたかと思います。

ただ、これらの外的要因は表面的でしかないので、本質となる”人々がビーガンを実践する理由”について、もう少し詳しくみていきましょう。

ヴィーガンを実践する動機は主に、

  1. 健康改善
  2. 環境問題解決
  3. 動物愛護

の3つです。

動機1. 健康改善

いかにも健康そうなヴィーガンのサラダボール

第一に、お肉やお魚、卵や牛乳など、動物性食品の摂取が身体に悪いと考えることが、ヴィーガンを実施する理由です。

お肉などの動物性食材を食生活から排除することで、肥満の解消だけでなく、糖尿病やガン、心疾患のリスク低減にも繋がることは医学的に認められています。

ヴィーガンの実践によってこれらの疾患発症リスクが下がることは、「禁煙で肺がんのリスクが下がる」と同じレベルで、疑いようのないものです。

心疾患や糖尿病の原因となるお肉

お肉や卵など、動物性食品の摂取によるコレステロールや中性脂肪は、血液をドロドロにして血管内にプラークとして蓄積するため、心疾患や脳血管疾患などのリスクを高めます。

また、「糖分の取りすぎ」と認識されがちな糖尿病も、実は動物性食品の摂取による血液中の脂肪増加が、最初の引き金となっている疾患です。

動物性食材を食事からなくすことで、糖尿病や血管関連の疾患リスクを劇的に低減できるということが、人々がヴィーガンを実践する理由の一つです。

お肉に含まれる発がん性物質

お肉などの動物性食品を摂取すると、血中のIGF-1(インスリン様成長因子)濃度が上昇することが確認されていますが、このIGF-1は「癌のエサ」と言われています。

WHO(世界保健機関)は、ベーコンやハム、ソーセージなどの加工肉の発がん作用を認めていて、最もレベルの高い「グループ1発がん性物質」にリストアップしています。

グループ1には、

  • タバコ
  • アスベスト
  • プルトニウム
  • 加工肉(ベーコンやソーセージなど)

の4つがあり、これらの発がん性は疑いようがありません。

また、肉類を焼いた時に発生するPAH(多環芳香族炭化水素)にも発がん性が確認されていて、加工していない赤肉(牛肉など)も、WHOでは1ランク下のグループにリストアップされています。

牛乳に含まれる発がん性物質

牛乳に含まれる女性ホルモン、エストロゲンも、体内で高濃度状態が続くと発がん作用があります(NIH:アメリカ国立衛生研究所)。

牛乳の摂取量とガンの発症率の関連性を示した研究は多々あり、牛乳の摂取によって、女性では乳ガンや卵巣ガン、男性では前立腺ガンのリスクが上昇することが確認されています。

また、「カルシウムには牛乳」と教え込まれた私たちですが、人間は牛乳を体内で分解(中和)するために骨内のカルシウムを使うため、牛乳の摂取量が上がると逆に骨粗鬆症リスクが上がります。

魚に含まれる化学汚染物質

古くから日本の食文化に浸透し、健康食というイメージもある魚には、オメガ3脂肪酸など、私たちの身体にとって有益な栄養素が含まれているのは事実です。

しかし現代においては、ほとんど全ての魚から水銀やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、ダイオキシンなどの化学汚染物質が検出されていて、魚は人類が海に流し続けてきた「化学汚染物質のかたまり」という見方もできます。

自然界から隔離された養殖においても、殺虫剤や抗カビ剤、抗生物質などの大量の薬品が使われているため、健康被害が問題視されています。

動機2. 環境問題解決

美しい緑の森林と自然

健康への動機に加え、近年になって明らかになってきた畜産による環境破壊も、ヴィーガンを実践するモチベーションの一つです。

聞いても「で?」となってしまうかもしれませんが、畜産(お肉を生産する過程)は、車よりも多くの温室効果ガスを排出し、森林伐採の主要因ともなっている巨大産業です。

環境保全などに興味のある人にとっては、「環境破壊に貢献したくない」という動機で、ヴィーガンとなるケースもあります。

お肉をやめると温暖化が止まる?

地球温暖化は私たちに人類にとって最も大きな環境問題の一つですが、その原因となる温室効果ガスは畜産からも大量に排出されています。

車の排気ガスが大きな注目を集める温暖化対策ですが、国連(United Nation)によると、車やトラック、飛行機や船など全ての交通機関を合わせるよりも、お肉の生産過程から出る温室効果ガスの方が多くなっています。

人間由来の総温室効果ガスの51%が畜産から出ているとした研究もあり、「お肉の消費を減らす」ことは地球温暖化阻止に欠かせないと考える人も少なくありません。

畜産が使う広大な土地と大量の水

現在、毎年食料として約600億の家畜が育てられていますが、この家畜を育てるために、地球上の全陸地の1/3に当たる広大な土地が使用されています。

また、家畜は大量の食料と水を消費して育ちますが、マクドナルドのハンバーガー1つ(約110g)の牛肉を生産するのに2,500リットルの水が、牛乳を1リットル生産するためには1,000リットルの水が必要で、野菜とは比にならないほどの水を使用しています。

カリフォルニア州での干ばつなど、世界各地で水不足が話題になっていますが、生活用水は1人あたり1日200リットル程度ですので、ハンバーガーを1つ食べないだけで10日間水を全く使用しない以上の節水効果があります。

これ以上魚が獲れない海

「魚がとれない」「魚の価格が高騰」という類のニュースを目にする機会も増えているかと思いますが、魚の枯渇も重大な問題となっています。

日本では「異常気象が原因」などと報道されるこうした情報ですが、魚の減少の理由は、人間が獲りすぎたことによる個体数の減少です。現に国連は、「海の80%がこれ以上魚を取ることができない状態」だと勧告しています。

また、天然魚の枯渇には”養殖が解決策”とする見解もありますが、養殖による沿岸海域の環境破壊や水質汚染、飼料問題などを理由に、養殖にも持続可能性(サステイナビリティー)はありません。

人口増加による食糧難へのソリューション

日本では人口減少が問題になっていますが、世界全体の人口は増加する一方で、2050年には100億人近くに達すると予測されています(現在よりも20億人以上プラス)。

途上国の経済発展に伴って世界各地で食生活の近代化(欧米化)も進むため、2050年に世界の肉需要は現在の倍まで上昇します。

今の時点で既に1/3の陸地を占領している畜産業ですので、単純に考えて、地球上のリソースだけで、自然を残しながら全人類を養っていくことは不可能です。

一方、植物だけから全てのカロリーと栄養素を摂取した場合、従来の1/18の土地と1/13の水があれば生きられるため、来たる食糧難の解決策としてヴィーガンを推奨する人もいます。

動機3. 動物愛護

牧場に一匹でたたずむ仔牛

ビーガンを実践する3つ目の動機は、動物愛護的な思想によるものです。

「犬は食べないのに牛は食べる、っていうのがしっくりこない」とか「自分の手では殺せないから食べない」とか、単純に「生き物かわいそう」とか、動物に対する個人の性格や価値観を理由に、ヴィーガンを実践する人もいます。

動物愛護に関しては、完全に個人の価値観次第ですので深くは掘り下げませんが、動物愛護的な理由でヴィーガンを実践する人が持つ、いくつかの視点を紹介します。

年間600億の屠殺

毎年600億の動物が食料のために屠殺されますが、この数字は1秒あたりにすると約2,000匹(頭)です。

「人間ではない命に価値などない!」「家畜は人間のためにあるのだ!」という価値観もあります。

ただ、1秒間にそれだけの数の命が私たち人間の舌を満たすためだけに終了しているということに対して、何か感じる人も少なくないでしょう。

知能レベルで区別できないペットと家畜

私たち日本人は犬や猫を食べませんし、それらを食べる中国人や韓国人を悪とみなすこともあります。

おそらくこの思考には、犬や猫が私たち人間になつくことや、彼らの頭が良く、人間とコミュニケーションが取れることも関係しているでしょう。ただ、豚の知能レベルは人間でいえば3歳児程度で、2歳児程度の犬よりも高く、豚も飼えば人になつきもします。

社会が言う”ペットと家畜の区別”がしっくりくる場合や、「豚は美味いが犬は不味い!」という価値観であれば問題ありませんが、このようなペットと家畜の境界線に疑問を感じ、ヴィーガンを始める人もいます。

生産工程が価値観に合っていない

生産者の顔が見える農作物など、食べ物がどうやって作られたかの透明性が重要視される時代です。

生産過程が気になる一方で、畜産に限って言えば、誰も屠殺現場は見たくありませんし、動物好きでなくても、それを見てお腹が空く人はまずいません。

「そういう裏事情は見る必要も、考える必要もないし、美味しいものはいただく」という選択をするか、「見たくも考えたくもないものを食べるのは、そもそも自分の価値観に合ってない」と考えるか、完全に個人の自由ですが、後者が増えてきている時代でもあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、これから日本でも流行間違いなしの”ヴィーガン(ビーガン)”について、概要から海外でのトレンド傾向、実践する動機まで、全てお伝えしました。

まだ日本では社会的に実践ハードルも高く、やろうと思ってもなかなかできないのが現実ですが、今後5年でかなり浸透していくことが予測されています。

いきなりビーガンとまではいかなくとも、ミートフリーマンデーのように週のうち数回野菜だけの日を設けてみたり、フレキシタリアンを実践してみるのもいいでしょう。

「お肉減らそうかな」と思った時は、ぜひ、ここにある情報を参考にしてみてください。

4 件のコメント

  • 植物だって生き物に変わりはない。
    動物愛護的観点は人間の奢り。

  • 実は生き物って括りは何の意味も為さない括りなんです。「同じ生き物だから」という主張が通るとするならば、「人間も石ころも物質である事に変わりはない。だから石ころにも配慮すべき」という主張も通ってしまう。この主張はおかしいと感じるでしょう。なぜなら、人間は痛みを感じ、石ころは痛みを感じないから。この事から、グループ名で括ることは意味がなく、対象の持つ性質(痛みを感じるか否か)で区別する方がより論理的な括りであるという事になります。そのため、配慮対象の選別は痛覚の有無での線引きが妥当であり、科学的に痛点が無い(痛みを感じない)と証明されている植物のみを食べることは合理的な行為であると言えます。
    もちろん、作物を育てる際の害獣駆除などで少なからず犠牲は生まれています。しかし、直接動物を食べるよりも犠牲数は少ないです。
    ところで、「動物でも植物でも、食べる時に命を奪うという性質は変わらないじゃないか!」と考えの方も居るかと思います。でも実は、少量の肉を得る為に多量の植物が餌として必要なため、肉を食べる方が植物の消費が多くなるのです。つまり命の犠牲数という観点でも、植物のみを食べる方が効率が良いです。
    大の犠牲より、小の犠牲を選ぶ。それが動物愛護ベジタリアンの考えです。

  • ちなみに、「でも植物はどうなんだ」といった主張はプランツゾウ(Plants tho)論法と呼ばれ、ベジタリアン側の意見を誤解する事から生じた議論のすれ違いの典型例です。ベジタリアンやビーガンの主張に納得がいかない方は「プランツゾウ」で検索し、ビーガニズムの論点を正しく理解した上で議論して頂ければ幸いです。

  • 結局は自己満足なのでしょう。
    ビーガンは豊かな人間の傲り、と感じました。
    私は肉も魚も食べます。もちろん野菜も。
    作ってくれた人と食材、食べられることに感謝して美味しくいただきます。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。