ヴィーガンは3種類?定義や理由、ベジタリアンとの違い等流行の裏側を暴露!

ビーガン用のスーパーに並ぶ多種の野菜

最近注目を集め、メディアで目にすることも増えてきたビーガン・ヴィーガン(Vegan)やベジタリアン(Vegetarian)などの菜食主義。

その中でも「完全菜食主義」や「絶対菜食主義」とも訳されるVeganですが、なんだか和名がとても威圧的で、自分とは無縁と感じたり、強烈な印象を持つ方も少なくないはず。

また、菜食主義には動物愛護や宗教的思想背景も強そうなイメージで、「頭の狂った人たちのやること」と、嫌悪感さえ持つ方もいるでしょう。

しかし、私たち日本人が抱くイメージとは異なり、欧米先進国では、ヴィーガンはカジュアルな「食・ライフスタイルの選択肢の一つ」として浸透しています。

彼女たち、彼らの考えに賛同できるかどうかや、実際に実践するかどうかはさておき、これから日本でも普及していくことが予想されるビーガンなどの菜食主義について、知っておいてきっと損はないはずです。

そこで今回は、気になるヴィーガンやベジタリアンなどの定義やそれぞれの違い、動機など、菜食主義の全てをどこよりも詳しく解説していきます。

ヴィーガンとは

テーブルの上に置かれた緑黄色野菜
まず、ビーガン/ヴィーガンとは、一体どのような意味なのでしょうか?

「最近の若者の流行」という印象のビーガン(ヴィーガン)ですが、この言葉自体が生まれた歴史は意外と古く、1944年にまでさかのぼります。

その当時、世の中にはベジタリアンという言葉しか存在しなかったのですが、イギリスに住むドナルド・ワトソンおじさん(Donald Watson)が、「ベジタリアンの定義、気に食わん」ということでヴィーガン(Vegan)という新しい言葉を作りました。

※お肉やお魚などを意図的に口にしない食生活は、古代ギリシャから存在すると考えられていますが、ベジタリアン(Vegetarian)という言葉は1830年代頃から確認されています。

ヴィーガン(Vegan)という言葉の起源

ヴィーガンというワードの語源は諸説ありますが、この言葉の生みの親であるワトソンさんは自身のインタビューで、「ベジタリアン(Vegetarian)の短縮系である」と述べています。

Veg-etari-an」の太字部分だけ取って「Vegan」ということですね。

ワトソンさんは同じインタビューで、Veganと名付けた理由について「ヴィーガンはベジタリアンから始まり、そして理にかなった結論にたどり着いた結果生まれたものだから」と言っています。

ヴィーガンはベジタリアンから派生した造語

上の写真のワトソンおじさんが、当時のベジタリアンの定義に納得していなかった理由は、「ベジタリアンは乳と卵を口にしていたから」でした。

ワトソンさんは、アニマルライツ(動物の権利)にうるさいこじらせ思考の方だったようで、「卵には鶏が、乳には牛が必要じゃん?こいつらマシーンみたいにめちゃくちゃに働かされて結局殺されるけど、ええの?」という疑問から、新たに卵も乳も口にしないダイエット(食生活)の概念を作ったということです。

2019年現在においてもビーガンの定義はその当時と変わっておらず、お肉やお魚だけでなく、卵や乳も口にしない食生活のことを指しています。

ヴィーガンとベジタリアンの違い

ビーガンとベジタリアンの違い
さて、そして同じ菜食主義の仲間であるベジタリアンと、そこから派生して生まれたヴィーガン(ビーガン)との違いですが、「食べるモノ・食べないモノ」にフォーカスして簡単に比較すると、下の表ようになります。

カテゴリー 蜂蜜
ベジタリアン × ×
ヴィーガン × × × × ×

お肉やお魚など「どっからどう見ても動物的」なモノだけを食べないベジタリアンに対して、ビーガンは、卵や乳製品など「動物からゲット(動物を使用)」したモノまでも口にしない、というのが一番の違いです。

さらにヴィーガンは、蜂蜜(はちみつ)も口にしないのも珍しくありません。

※日本に古くからある精進料理も基本的にはヴィーガン同様、動物性の食材を一切使用しません(肉や魚などに加えてネギやニンニクなどの五葷も避けるのが一般的です)。

80年近く変わらないヴィーガンの定義

1944年から約75年もの間、ほぼそのままの定義を保っているヴィーガニズムですが、現代においては医学や栄養学の発展、畜産の巨大産業化、環境問題の顕在化などに伴い、人々がヴィーガンを実践する動機は当時と比較すると大きく変化しています。

そこでここからは、人々は21世紀の今、「なぜヴィーガンになるのか?」という疑問にお答えすべく、菜食主義の実践動機やその背景についてみていきましょう。

動機ごとに3種類に分かれるヴィーガン

ビーガンのデトックスドリンク
お肉、お魚、卵、乳、蜂蜜を口にしない人は、基本的にみんなヴィーガン(ビーガン)というカテゴリーに分類できますが、こうした人々をあえて動機ごとに細分化して呼ぶこともできます。

ヴィーガンの中の代表的なジャンル(動機)には、以下の3つが挙げられます。

  1. ダイエタリー・ヴィーガン(健康)
  2. エンバイロメンタル・ヴィーガン(環境)
  3. エシカル・ヴィーガン(動物)

「なぜヴィーガンになるか」の理由が分かるカテゴライズ

このような細分化ができるヴィーガンですが、通常はこの3つの動機、全部のコンビネーションで菜食主義を実践するケースが多いため、あまり実用性は高くないのが実際のところです。

ただ、「なぜヴィーガンになるのか」という思考を理解するには役立つカテゴライズですし、稀にヴィーガン同士の会話で「私/僕はエシカル(動物愛護)でやってるよ。あなたは?」のように、相手が何を動機に実践しているのか聞いたりすることもあります。

ヴィーガンになる理由が気になる方だけでなく、既に菜食主義者の方も、さっと目を通しておいてもいいかもしれません。

ダイエタリー・ヴィーガン(Dietary Vegan):健康重視

ズッキーニで作るパスタ
まず、ヴィーガンの中には、「ダイエタリーヴィーガン(Dietary Vegan)」と呼ばれる、健康に重きを置いたヴィーガニズムがあります。

このダイエタリー(Dietary)は「食の」という意味の英語で、無理やり和訳すると「食のヴィーガン」みたいな意味になります。

※日本では、痩せるための食事制限をダイエットと呼びますが、上述のダイエタリーには「痩せる」や「制限する」のような含みはなく、単なる「食生活」という意味の「ダイエット(Diet)」からきた「ダイエタリー(Dietary)」です。

「お肉は体に悪い」と言うヴィーガン

ダイエタリーヴィーガンは基本的に「動物性食品は身体に良くない」と考えていて、健康上の懸念を動機に実践しています。

動物性食品の摂取をやめることで癌リスクが低減に繋がったり、動物性脂肪の摂取を減らすことで、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系疾患のリスクを下げることに繋がると考えていて、以下のような研究・データを参考にしています。

動物愛護はどうでもいいヴィーガンも?

一般的にヴィーガンは、動物搾取全般を否定し、お肉などを食べないだけでなく、革製品等、動物由来のものを一切使用しないことで知られています。

ですが、自身の健康に重きを置いてヴィーガンを実践しているヴィーガンの中には、稀に(少なくとも欧米では)、食以外では動物性のものを制限しないタイプもいます(お肉食べないけど革ジャン着れる、みたいな)。

エンバイロメンタル・ヴィーガン(Environmental Vegan):環境保全重視

広大な山々と農地
健康重視型の他に、エンバイロメンタル・ヴィーガン(Environmental Vegan)と呼ばれる、「環境保全重視タイプ」のヴィーガニズムもあります。

エンバイロメンタル(Environmental)とは、「環境の」という意味の英語で、環境保全を動機に、ヴィーガンを実践していることを表しています。

「畜産は環境に悪い」と言うヴィーガン

お肉好きには悲しいことですが、畜産は、車の排気ガスよりも地球温暖化への影響が強かったり、アマゾン森林伐採(森林火災)の主要因になっていたりする、超巨大産業となってしまっています。

さらに、魚介類においては、乱獲による生態系の変化や漁獲量の減少が顕著で、2050年までに漁場が枯渇する(海から魚が獲れなくなる)ことまでも懸念されています。

可能な限り環境破壊に加担したくないヴィーガン

地球温暖化の影響が顕在化し、世界各地で熱波やハリケーン、洪水、干ばつ、森林火災などが立て続けに起こる昨今、環境問題を動機にヴィーガンを実践する人も増えていて、そうしたヴィーガンは上記のような研究やデータを参考にしています。

自分一人がお肉やお魚を食べなくなったところで、なんの影響も持たないことを自覚しながらも、「せめて自分だけでも、この環境破壊に加担していたくない」。

そんな思いで動物性食品を避けて生きるのが、このエンバイロメンタル・ヴィーガンです。

エシカル・ビーガン(Ethical Vegan):アニマルライツ重視

空から見下ろす家畜(牛)
3つ目のタイプは、エシカル・ヴィーガン(Ethical Vegan)と呼ばれるヴィーガニズムです。

エシカル(Ethical)には、「倫理的な」とか「道徳的な」という意味があり、動物愛護を動機として実践しているヴィーガンがここに当てはまります。

「動物かわいそう」と言うヴィーガン

エシカル・ヴィーガンたちの最優先事項は「動物愛護」ですので、動物が絡んで生産されたモノ全般に対して否定的です。

食はもちろん、ファッションや化粧品などの日用品に関しても「可能な限り動物搾取をしたくない」という思いが強く、乳製品や卵、はちみつなども口にしないだけでなく、レザーやウール、毛皮、ダウンなどの動物性のものを着用せず、虫であるカイコから作った絹(シルク)の製品をも避けることがあります。

また、動物実験にも反対で、マウス実験などを経て開発された化粧品やシャンプーなどの日用品も、可能な限り避ける傾向にあります。

お砂糖も使わないヴィーガン?

このエシカル・ヴィーガンの中には、サトウキビなどの植物からできている白砂糖の摂取を否定する人もいます。

「サトウキビは植物なのに?」と突っ込みたくなってしまいますが、その理由は白砂糖の製造工程にあります。

一般的に、砂糖を白く脱色する工程で骨炭(こったん)という動物(主に牛)の骨(参考)を使っているのですが、それが「動物の使用」に当たると考えるためです。

「どこまで気にするか」はヴィーガンの中でも人それぞれですが、エシカル思考の人の中には、原材料に直接含まれなくても、製造工程で動物性のモノが使われる飲食料品を極力避けようとする人もいるということは、頭に入れておいてもいいかもしれません。

世界中で増加するヴィーガン人口

一箇所に集中する大勢の人々
単なる「動物のため」だけでなく、環境問題など、21世紀特有の様々な理由により増加しているヴィーガンやベジタリアンですが、特にここ数年、欧米諸国におけるヴィーガン人口の増加には、目を見張るものがあります。

そこでここからは、世界のヴィーガントレンドの推移についてみていきます。

世界のヴィーガントレンド推移

世界各地で急増しているヴィーガン/ビーガン、ベジタリアンなどの菜食主義者ですが、特に増加が顕著なのが、アメリカ、イギリス、ドイツなどの欧米先進国です。

ここ数年で、「ビーガン人口が倍増!」「10人に1人がベジタリアンに!」なんて地域もあるほどで、2019年には、大手ハンバーガーチェーンのバーガーキングがヴィーガン向けのワッパーを全米で試験販売したり、あのケンタッキーフライドチキンもアメリカ(地域限定)でヴィーガンチキンナゲットを導入し始めました。

イギリスでも、ケンタッキー、そしてマクドナルドまでもがヴィーガンメニューを導入するなど、欧米中心に各国で菜食対応が加速しています。

代替肉のスタートアップも増加

さらに、飲食店におけるヴィーガン対応の浸透だけでなく、シリコンバレーのビヨンドミートなど、代替肉(植物でできた、お肉を模した食品)を開発するスタートアップも世界各国でしのぎを削っていて、中には上場を果たす企業も出てきています。

上場したビヨンドミートに関する詳しい解説はこちらの記事で

流行りを通り越し、もはや新たなスタンダードにもなりつつあるヴィーガンですが、この先では菜食主義者の人口増加について、より詳しく数字で紐解いてみます。

アメリカ:3年間でヴィーガン人口500%増加

アメリカ星条旗とロックフェラー
まず、ここ近年で最もビーガンの実践者が増加したと言える国は、アメリカ合衆国です。

GlobalDataのレポート(2017年)では、2014年の調査時に総人口の1%だったヴィーガンが、3年後の2017年には6倍に上昇したという結果が出ています。

※その他様々な調査機関が米国内の菜食人口調査をしており、テータ収集方法、サンプルサイズ、結果数値に差異があります。

アメリカでは16人に一人がヴィーガン

アメリカの総人口は約3億3,000万人ですので、上のレポートを基にすると、2017年時点で2,000万人近くがヴィーガンを実践していると推計できます。

最大8万人収容できる新国立競技場にアメリカ人が集まったとすると、その中に約5,000人もヴィーガンがいることになります(計算上)。

元々のヴィーガン人口が1%とごく少数であったこともありますが、3年間で6倍にも増えたのは驚異的で、最大手ファストフード店が次々にヴィーガンメニューを導入しているのも納得ですね。

イギリス:5年間で菜食主義者約4倍に増加

風になびくイギリス国旗と建物
イギリスも、アメリカに次いで、ここ数年でのヴィーガン増加が顕著な国の代表格です。

イギリスに本部があるヴィーガン協会(Vegan Society)が実施した調査によると、2018年時点で国内に推計約60万人のヴィーガンがいて、2014年の約4倍になったと発表しています。

また、別の調査では、2018年時点でイギリス人の350万人以上(総人口の7%)がヴィーガンという結果も出ています。

続々とオープンするヴィーガンレストラン

正直なところ、上の調査はどちらもサンプルサイズが小さく(n=2,000)数値の正確性に疑問は残ります。

ですが、マクドナルドやケンタッキーまでヴィーガンメニューを導入を発表し、首都のロンドンだけでもヴィーガンレストランが150店舗以上あることなども加味すると、英国での菜食人口増加は疑いようのないことでしょう。

著名人の啓発活動も盛んなイギリス

総人口7,000万人以下ながら、ベジタリアンを含めた菜食主義者が1,000万人とも推計されるイギリスですが、この普及にはビートルズのポール・マッカートニーなど、著名な英国人の啓発活動も影響しています。

ポールマッカートニーは「ミートフリーマンデー(Meat Free Monday)」の発起人でもあり、「肉の摂取を極力減らす」というフレキシタリアンを実践する人も増えています。

フレキシタリアンの詳細はこちらの記事で

ドイツ:10人に一人以上がベジタリアン

風になびくドイツ国旗と青空
アメリカ、イギリスに加えて、「ソーセージとビール」のイメージも強いドイツも、菜食主義人口が多い代表的な国です。

2015年の論文に記載のあるProVegの調査では、ドイツ総人口の約10%に当たる約870万人がヴィーガンもしくはベジタリアン(菜食主義者)であるとされていて、世界でも有数の菜食者割合の高い国です。

ヴィーガン以外も肉の消費を控える傾向に

ヴィーガンに加えて、イギリスでも増加しているフレキシタリアン(ヴィーガンやベジタリアンなどの菜食主義ではないが、意識的に肉の消費を減らす生活)を実践する人の数は、ドイツ国内に420万人いると推計されています。

ヴィーガン以外からの肉料理以外の需要増加も影響し、首都のベルリン(ベルリン中心地から8km以内)だけでも60店舗以上のビーガン専門レストランがオープンしていて、ヴィーガン対応可能なお店の数を含めると450店舗以上にもなります(参考)。

世界のビーガントレンドの詳細はこちらの記事へ

若い世代&都市部に多いヴィーガン

欧米の街を歩くたくさんの人々
上記したような欧米先進国を中心に増加を続けるヴィーガンですが、実践者の内訳を調べたリサーチによると、60%以上が35歳未満であり、ヴィーガンのトレンドは若い世代が牽引しているものと言えます(55歳以上はたったの4%)。

また、「Vegan」のGoogle検索数は、2015年に前年比32%増、2016年には前年比90%増となっていて、2018年までの5年間で約280%上昇しています(GoogleTrend Data)。

デジタルネイティブが多い35歳未満が中心に、インターネットで情報収集・発信をしながら浸透しているのがヴィーガニズムであることが伺えます。

リベラル思想は2.5倍ヴィーガンになりやすい

また、政治思想もヴィーガン実践との関連性が見受けられ、GALLUPの調査では、保守的志向の人に比べてリベラル志向の人の方が2.5倍もヴィーガンになりやすく、ベジタリアンもリベラル派が5倍以上という結果になっています。

リベラル思考とは、基本的に既定概念に固執せず多様性を受け入れる思考を持った人たちですので(LGBTQムーブメントを牽引しているのもリベラル寄りの人々)、ヴィーガンやベジタリアンという、常識からちょっと逸脱した新しい概念も、フラットに受け入れることができる性格なのだと考えられます。

リベラル思考の人は都心部に集中する傾向もあるため、ビーガンやベジタリアンはアメリカではニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなど、イギリスではロンドン、ドイツではベルリンなどの主要都市に多く集まる傾向にあります。

ヴィーガン人口増加に影響したドキュメンタリー

ドキュメンタリーの撮影現場
欧米諸国におけるヴィーガン人口増加には、上述したようなインターネット世代の拡散力も関係していますが、近年公開されたいくつかのドキュメンタリーも大きく影響しています。

アメリカにおけるアンケート調査(n=6,503)では、ヴィーガン/ベジタリアン実践者の42%もの人がなんらかのドキュメンタリーをきっかけに菜食を始めたと答えています。

健康のためか環境のためか、はたまた動物のためか、理由は人それぞれですが、半数近くもの人がドキュメンタリーをきっかけにヴィーガンをはじめています。

健康関連のドキュメンタリー

世界97ヶ国の述べ1万人以上を対象とした2019年の調査では、菜食主義者の約2割が健康のためという動機でヴィーガンやベジタリアンを実践しているという結果になりました。

近年公開された、肉や魚、卵や乳製品など、動物性食品摂取の健康への悪影響を訴えたドキュメンタリーで代表的なのは、以下の2つです。

  • Folks Over Knives:フォークス・オーバー・ナイブズ(2011年)
  • What the Health:ワット・ザ・ヘルス(2017年)

また、2019年公開のゲームチェンジャー(The Game Changers)も、菜食がトップアスリートにとっても有益であることを訴えた、影響力のあるフィルムです。

Folks Over Knives:フォークス・オーバー・ナイブズ

フォークスオーバーナイブズ出典:https://www.forksoverknives.com

Netflixで視聴可能

アメリカ発のこのドキュメンタリー、日本語タイトルでは「いのちを救う食卓革命」と、なんだかちょっと胡散臭い名前になってしまっていますが、国内外で大きな反響を呼んだ健康目線でヴィーガンを推奨する作品の1つです。

この記事のはじめの方で紹介した3種類のヴィーガニズムに当てはめると、これらのドキュメンタリーを観てヴィーガンをはじめた場合、ダイエタリー・ヴィーガンの要素が強いと言えます。

What the Health:ワット・ザ・ヘルス

出典:https://www.whatthehealthfilm.com

Netflixで視聴可能

このワット・ザ・ヘルスもアメリカ発のドキュメンタリーで、2017年にネットフリックス等ネット限定で公開され、世界各国でセンセーションを巻き起こした作品です。


これら2作品影響により「観た次の日からヴィーガンになった」なんて人もいて、NBA(米プロバスケットボール)選手のカイリー・アービン(Kyrie Irving)や歌手のニーヨ(Ne-Yo)も、この作品の影響でヴィーガンになったことが知られています(参考)。

The Game Changers:ゲームチェンジャー

出典:https://gamechangersmovie.com

Netflixで視聴可能

2019年公開のゲームチェンジャーも完全菜食のヴィーガンを推奨するものですが、上の2作品が「肉などの悪い部分」に焦点を当てていた一方、この作品は、より「菜食の有効性」にフォーカスした作品です。

「肉が悪いことはわかったけれど、野菜だけにするのは栄養面で心配」というヴィーガン潜在層に訴えかけるような内容になっています。

環境問題のドキュメンタリー

畜産のために山を切り崩す森林伐採

2019年の調査では、ヴィーガンやベジタリアンの実践動機で第3位となった環境問題ですが、これに関してもメッセージ性の強いドキュメンタリー作品がいくつかあります。

最も社会的インパクトが強かったのが、2014年のカウスピラシー(Cowspiracy)というドキュメンタリーです。

Cowspiracy:カウスピラシー

カウスピラシー(Cowspiracy)出典:https://www.cowspiracy.com

Netflixで視聴可能

このドキュメンタリーには健康問題や、一般的なヴィーガンのイメージでもある動物愛護的な要素は一切なく、100%「畜産と環境」だけにフォーカスした斬新な作品です。

食糧生産(農畜産業)のサステイナビリティー・持続可能性に焦点をあて、現代の畜産業が引き起こしている環境破壊など数々の問題点を挙げ、ソリューションとして菜食実践を提唱する内容です。

「不都合な真実」&「地球が壊れる前に」

ドキュメンタリー「地球が壊れる前に」出典:https://www.beforetheflood.com
カウスピラシーに加えて、畜産にクローズアップしたものではない(直接的に肉食を否定するものではない)ですが、

  • 元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏の「不都合な真実(An Inconvenient Truth)」
  • レオナルド・ディカプリオの「地球が壊れる前に(Before the Flood)」

なども、環境問題に人々の目を向けさせた影響力のあるフィルムの代表格です。

An Inconvenient Truth:YouTubeで視聴可能
Before the Flood:Netflixで視聴可能

このような地球環境問題解決への解決手段として実践するビーガンは、エンバイロメンタル・ヴィーガンと呼ぶこともでき、ヴィーガン全体の約1割が環境を最優先として実践しています(参考)。

動物愛護のドキュメンタリー

環境問題も自身の健康も、どちらもヴィーガンに重視される点ではありますが、菜食実践の動機トップとして最も多いのが動物愛護です。

上と同じ調査では、ヴィーガンのうち約6割の人が「動物のため」が最も大きいと回答しています。

動物愛護に関するドキュメンタリーはかなり過激に感じる方も多いと思いますが、畜産における屠殺現場の映像を集めたアースリングス(Earthlings)というドキュメンタリー(2005年)が有名です。

Earthlings:アースリングス

ドキュメンタリー:アースリングス(Earthlings)出典:http://www.nationearth.com
基本的に普段あまり観たくない映像のコンピレーションなのですが、食用家畜の屠殺のみならず、ファッション業界における革や毛皮、羽毛などの採取場面、ペット業界における動物の扱いなどの映像も含まれます。

誰が見ても落ち込んでしまうような映像ばかりですが、衝撃的すぎてこの作品をきっかけに「お肉を食べなくなった」「革製品を買わなくなった」「ペットショップに行かなくなった」というようになった人は少なくありません。

Blackfish:ブラックフィッシュ

また、食生活とは直接関係ありませんが、水族館の生き物の扱いを取り上げたブラックフィッシュ(Blackfish)というドキュメンタリー(2013年)も、水族館や動物園に行く人を現象させた、影響力のあるフィルムです。

このようなドキュメンタリーをきっかけに、「動物のために」とヴィーガンを実践する人は、エシカル・ヴィーガンにカテゴライズされます。

増加するヴィーガン有名人&セレブ

ハリウッドのサイン、看板

影響力のあるドキュメンタリーに加え、欧米諸国ではハリウッドセレブや歌手などの著名人がヴィーガンを公言するようになったことも、アメリカやイギリスなどの各国で、若者中心に菜食実践者が増加する背景にあります。

ここではそんなヴィーガンセレブの中から、日本人でも分かる超有名どころだけピックアップして紹介します。

アリアナ・グランデ(Ariana Grande)

まずは、日本でもみなさんご存知の歌手、アリアナ・グランデさん。

21歳の時に自身のツイッターでヴィーガン宣言をし、以降継続していると言われています。

雑誌インタビューなどでもオープンに自身のヴィーガニズムについて話していて、動物愛護的な価値観に加え、健康上の理由から実践しているようです。

レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)

日本中の誰もが知るレオナルド・ディカプリオも、ヴィーガンの一人です。

ディカプリオは環境活動家としても有名な俳優ですが、畜産の環境破壊を主な理由として、ヴィーガンを実践しています。

最近も環境問題を訴えるデモに参加したり、畜産の実情を伝えるドキュメンタリー制作に携わったり、植物性のお肉を作る会社に投資したりと、「環境フリーク」と呼べるほど環境活動に積極的な人物です。

ちなみにヘビースモーカーで、自身の健康の優先度は高くないようです。

ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)

映画レオンの少女マチルダ役や、ブラック・スワンの主演としても有名なナタリー・ポートマンも、ヴィーガンの一人です。

妊娠中には卵を食べたこともあったようですが、2009年以降ヴィーガンを実践しています。

ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)

大ヒットした映画、ジョーカーの主役としても有名な俳優、ホアキン・フェニックスも、ビーガンを実践する有名人の一人です。

なんとホアキンさんは3歳の頃からベジタリアンで育ったようですが、宗教的な家族で育った訳でも、両親に強要されてお肉を食べなくなったのでもありません。

Cover Mediaでのインタビューでは、「幼少期に家族で釣り旅行に出かけ、目の前で釣った魚がさばかれるのを見て恐怖を覚えた」と語っています。その頃から、動物性の食べ物は口にしていないようです。

マイリー・サイラス(Miley Cyrus)

若い世代に人気の歌手、マイリー・サイラスも、ヴィーガン実践者の一人です。

動物愛護を理由に2014年から継続していて、自身のインスタグラムで毛皮や狩猟に反対するメッセージなどを発信することもあるほど熱心な活動家です。

ベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)

テレビドラマ、シャーロック・ホームズや、アベンジャーズのドクター・ストレンジで有名な、ベネディクト・カンバーバッチもビーガンであることを公表している著名人の一人です。

映画アベンジャーズのプロモーション活動中にヴィーガンであることを公表していて、2018年には動物愛護団体PETAから、最も美しいヴィーガン2018(PETA’s Most Beautiful Vegan in 2018)にも選ばれています。

ビヨンセ(Beyonce)

有名歌手のビヨンセも、2018年にビーガン宣言をした著名人の一人です。

2012年にも夫のジェイ・Zと一緒に、「22日間ビーガンチャレンジ(22-day vegan challenge)」に挑戦したビヨンセですが、今回は22日間ではなく現在も継続しているようです。

ポール・マッカートニー(Paul McCartney)

ビートルズのメンバーは全員ヴィーガンとして有名ですが、現在も啓発活動に積極的なのがポール・マッカートニーです。

実娘のステラ・マッカートニーは、表参道にも店舗がある「動物性素材不使用」の高級ファッションブランドを経営していますが、親子共に熱心に活動をしています。

ちなみにポールとステラは、「月曜日はお肉を食べない日にしよう」と呼びかけるミートフリー・マンデー(Meat-free Monday)の発起人でもあります。

ブラッド・ピット(Brad Pitt)

ブラピことブラッド・ピットも、肉、魚、卵、乳を口にしないヴィーガンと言われています。

数年前にアンジェリーナ・ジョリーとの離婚の話題で盛り上がったりもしましたが、ブラッド・ピットは環境問題と動物愛護双方の動機から、1989年以降ヴィーガンだそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

動物愛護的思想だけでなく、自分の健康や環境問題まで、様々な理由で実践されるヴィーガニズム。

攻撃的なイメージがあったり、主張に矛盾を感じることも少なくないヴィーガンですが、もしどこか一箇所でも共感できるところがあったら「ちょっと今日はお肉のかわりにお豆腐にしてみようかな」とか、気軽な気持ちで試してみるのもありかもしれません。

思い立ったときに、少しだけでも。

この記事の情報が、みなさんの生活のどこかでお役に立てば嬉しいです。

8 件のコメント

  • 植物だって生き物に変わりはない。
    動物愛護的観点は人間の奢り。

  • 実は生き物って括りは何の意味も為さない括りなんです。「同じ生き物だから」という主張が通るとするならば、「人間も石ころも物質である事に変わりはない。だから石ころにも配慮すべき」という主張も通ってしまう。この主張はおかしいと感じるでしょう。なぜなら、人間は痛みを感じ、石ころは痛みを感じないから。この事から、グループ名で括ることは意味がなく、対象の持つ性質(痛みを感じるか否か)で区別する方がより論理的な括りであるという事になります。そのため、配慮対象の選別は痛覚の有無での線引きが妥当であり、科学的に痛点が無い(痛みを感じない)と証明されている植物のみを食べることは合理的な行為であると言えます。
    もちろん、作物を育てる際の害獣駆除などで少なからず犠牲は生まれています。しかし、直接動物を食べるよりも犠牲数は少ないです。
    ところで、「動物でも植物でも、食べる時に命を奪うという性質は変わらないじゃないか!」と考えの方も居るかと思います。でも実は、少量の肉を得る為に多量の植物が餌として必要なため、肉を食べる方が植物の消費が多くなるのです。つまり命の犠牲数という観点でも、植物のみを食べる方が効率が良いです。
    大の犠牲より、小の犠牲を選ぶ。それが動物愛護ベジタリアンの考えです。

  • ちなみに、「でも植物はどうなんだ」といった主張はプランツゾウ(Plants tho)論法と呼ばれ、ベジタリアン側の意見を誤解する事から生じた議論のすれ違いの典型例です。ベジタリアンやビーガンの主張に納得がいかない方は「プランツゾウ」で検索し、ビーガニズムの論点を正しく理解した上で議論して頂ければ幸いです。

  • 結局は自己満足なのでしょう。
    ビーガンは豊かな人間の傲り、と感じました。
    私は肉も魚も食べます。もちろん野菜も。
    作ってくれた人と食材、食べられることに感謝して美味しくいただきます。

  • 100歩譲って植物の犠牲については目をつむり、たとえ肉をまったく食べないとしても、
    農作物を得るためには「害虫・害獣」駆除などで、どのみち動物を犠牲にしておりますが・・・?
    (牛や豚の代わりにその犠牲の無駄を出来るだけ減らすため
    イノシシやシカの肉を食べるのはどう・・・?)
     また、反捕鯨や屠畜などの職業差別について、べジタリアンなら…とその主張の矛盾は免罪されがちなのですが、なまじ「筋が通っている」故にそうした差別がより正当化されやすく強固となってしまう事はありがちなのでは…?

  • 環境とか家畜を守りたいヴィーガンにとっては食肉派の人間を食べるのが一番効率的なのかな

  • やっぱりヴィーガンは攻撃性の高い動物だよなぁ。周りに何人かヴィーガンいるけど常にイライラしてて怖いもん。

  • よく分かりませんが、心情としてはとても賛成です。週に1回から実践してみます✌

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